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ーー「なあ。どうすればいいと思う?」
「いや、告白すればいいじゃん」
ある時、小学校からの親友である真司に煮え切らない恋の相談をしていた。真司から解答はそんな無責任なものばかり。
「告白って言っても、失敗したらどうするんだよ?」
「そん時はそん時っしょ。てかさ、話してる感じだといけそうな気もしないでもないけど」
「本当に!?」
「ごめん。嘘。わかんねぇ」
「なんだよそれ」
彼女とも良く交流している真司からの意見は特に貴重だと思っていた。だからこそそんないい加減な返答にやきもきしてしまう。
「てかさ恋なんてそんなもんだろ?相手の気持ちもわからないんだし、告白という選択肢でしか知るよしがないんだよ。まぁ、露の友達伝いで聞くという手もあるけど、そんな奥手奥手の恋愛なんてなんかダセぇ」
「真司はいいよな~そういうとこ。さっぱりしてるというかさ。僕みたいな草食系のお手本みたいなやつには中々ハードルが高いって話よ」
「ふ~ん。そんなもんか?でもよ、もしそんな尻込みし続けてさ、露が他の誰かと付き合う事になったらどうすんだ?後悔しないのか?」
「そりゃ!勿論!…………するよ………」
真司は嫌なところで核心をついてくる。彼女は人気者だったし、そうなる可能性だって優に想像できた。
「真司は知ってる?他に誰か露の事、気になってる人」
「う~ん。そりゃたくさんだろうな~」
真司はそうどこか上の空で返答した。
「もしかしてなんだけど………」
ーーその瞬間、最悪の展開が脳裏によぎった。
「真司ってさ」
ーー聞いたらダメだ。もし、この推測が正しかったら、僕はどうする?
「露の事」
ーーダメだ聞くな!聞いたら終わりだ!怖い!怖い!怖い!
「好き?なの?」
そう僕が問いた瞬間、少し歪ませた真司の表情だけで答えとしては充分だった。
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