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嘘だ。後腐れがない?後悔がない?恨まない?憎まない?簡単には割りきれるはずなんてないだろ?
僕はベッドの上で見上げた天井に、告白以来、仲睦まじい2人の残像をうかべる。
初恋だった。人生で一度きりの初恋だった。
世界が信じられなくなった。人が信じられなくなった。世界が嫌いになった。人が嫌いになった。
彼女が嫌いになりそうだ。真司が嫌いになりそうだ。何よりもそんな思考を作り上げる自分が嫌いになりそうだった。
失恋の痛みを甘く見ていた。途切れない涙がどうしようもない僕を見離したようにこめかみを伝う。
このまま眠って、もう起きれなくなってもいい。
夢の中で永遠に幸せを描いていたい。僕の理想を描いていたい。
この傷がいつか癒える日が来るなんて想像できない。
だからお願いします。神でも仏でも誰でもいい。
この痛みが消えるまで僕を眠らせておいてください。
涙で腫れた目を閉じる。それでも目蓋の裏に浮かぶのは、一番大切な親友と、一番好きだった人の笑顔だった。
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