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ーーずいぶん長く眠っていたような気がする。
目を開けると始めに目に映ったのは真っ白な天井だった。
頭上からはピッピッという機械音が聞こえてくる。
ふと違和感を感じて右腕に視線を向ける。
右腕から伸びるゴム製チューブ、腕に刺さる針、それを止めるガーゼとテープ。
腕だけじゃない。頭が何かに圧迫されているようにも感じる。
SF映画で観たことのある、脳内の記憶を映し出す機械でもつけられているような気分だ。
「ここは?」
カラカラに渇いた喉で何とか声を絞り出す。
「おっと起きましたか?」
「え?」
僕の声に反応して足下から小柄な影が近づいてくる。
「君は?」
「僕は僕ですよ」
その人影はなんとなく見覚えのある少年だった。どこか遠い昔に出会ったようなそんな懐かしさを覚えた。
「ここは?僕はどうしてここに?」
「はじめは混乱されると思いますが。もう少しの辛抱です。もう少しで全て解決するはずです」
少年はそう僕に微笑みかける。何故だろうか?その少年の笑みに安堵した。
「それでここは?ここは何処なんだ?」
「ここは。赤城祐介の心です」
「僕の心?」
「はい。正確にはあなたの心ではなく、赤城祐介本体の心ですが」
「本体?何を言ってるんだ?」
全く現状を想像できない解答ばかりで、脳がぐちゃぐちゃにミキサーされそうだ。
「では、一から説明しますね」
少年はそんな僕を見計らったかのようにこの世界について話し始める。
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