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脂汗を掻きながら、あたしはレオに向き直る。ここ数年で、あたしの戦い方は刀技がメインになりつつあった。かか様から教わった巫術は、どちらかと言えば補助的な意味合いが強い。
とは言え、腕前自体は落ちていない。レオがあたしの巫術の何を期待しているかは分からないが、あれだけの剣の腕を持つ彼が、態々あたしの巫術を欲すると言う事は……。
「取り敢えず、この物騒な大剣をしまって貰って良いかしら?」
決着は既についている。レオから詳しい話を聞くにせよ、このままの状態で続けるのは得策では無いだろう。あたしの言葉を受けて、レオは剣を突き出した姿勢を正した。
直後、レフェリーが試合終了の宣言をする。勢い良く右腕を振り上げ、そして第十五回、異種武術大会は幕を閉じたのだった。
そして、一時間程。あたしとレオはコロセウムから離れた冒険者の酒場、その一角で対面している。こちらと相席しているのは、二年前にあたしと合流したロト姉と、そんな彼女を慕う弟子二人。
対してあちらは、レオ一人だけだ。ここまでの道中、彼は何人かの綺麗な女の人から代わる代わる声を掛けられていた。強い男は、それだけで惹かれる女性が多いらしい。
気を利かせたロト姉がウェイトレスに声を掛け、こちらへ歩み寄って来た彼女へそれぞれの飲物を注文していく。ロト姉のその姿を横目に、あたしはレオへと切り出した。
「それで? 貴方はあたしの退魔の力が欲しい、みたいなことを口にしていたのだけれど」
早速あたしは、本題へと入る。
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