大魔王、復活

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 私の仲間……クロエと、ノエルの二人を指しているのだろう。彼女達はロッティとヘカーテと同様、かつて私の下で四天王として、私と共にとある一つの街を支配していたのだ。 「リースが、行方不明……」  考えられなかったし、信じられなかった。それからもカーツは私に、私が居ない間何が起きたのかを教えてくれた。本当に、沢山のことがあった様だ。 私が眠っていたのは二十五年程、それまでの間にバアルも、スルトも着実に戦力を増強していたらしい。 「特に危険なのはスルトの軍勢だ。奴はここ十数年で、人間界から数え切れない程の人間達を居城へと連れ去っている。……そして奴は攫って来た人間達に呪いを刻み、不死の命を与えた上で自らの手駒としているんだ」 「何ですって……? まさか、リースも?」 「リースが攫われたのは事実だ。だがリースの体にだけは、奴であっても呪いを刻むことは出来なかった。……しかし、な」  そこまで言って、カーツは歯切れが悪そうに言い淀む。どうしたのだろうと暫く彼の様子を窺っていると、カーツの体が小刻みに震え出す。 「カ、カーツ……? 一体どうし――……っ⁉」  見れば彼の閉じた唇の端から、血が滲み始めている。力強く握られた両手からも、痛々しいまでの流血が目を覗かせた。 「リースは、呪いを受けなかったんだ。だが……! あの子は! スルトの兵達から、毎晩の様に凌辱され続けた! 純潔を……奪われたんだっ! いつか愛した誰かの為に捧げられた筈の、それを! 奴らは……ッ!!」
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