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 ユタカさんは私が想像した通りの人物だった。カフェの向かいに座っているだけなのに、太陽のように明るく爽やかな笑顔を見せる。 「いいですね、よくジムとかに出かけてらっしゃって」 「そんなことないよ。 色んな事をやってみたくて、まずはやってみようかなって」  チャレンジ精神が旺盛なんだろう、そんな彼に私はつい見とれてしまった。とはいえ、少しの不安が生まれていた。 「......でも、どうして私なんかが気になってくれたん、ですか」  彼はくすくすと笑いながら答えてくれた。 「だって、あんなに自然体のあるプロフィール写真ってないからね」  一般的な女子たちは明るくて見栄えのするように加工した写真をプロフィールに設定する。ユタカさんが注目してくれたのは加工した写真でもビールジョッキでもなく、ごく自然と振舞っている私だった。  私はつい顔を赤くして、テーブルを見つめてしまった。それは私も同じなのに。同じはずなのに。  私も飾り気のないユタカさんを気になったのに、いざ言われると緊張してしまう。    しばらく沈黙が続く。やっと見つけた話題は思い出したひとつの約束だった。 「......そうでした、こちらが漫画ですよ。 面白ければ良いのですが」  私は小さな小袋をユタカさんに渡した。  彼は昔から漫画に興味はあったものの、お小遣いが足りずになかなか集められなかったという。  それならば私が教えてあげよう。つい私の気は大きくなった。まずこの作品を、それから色々な漫画やアニメたちを。  私たちは夕陽が出てくる時間まで語り明かした。ここに、教えたい女と知りたい男という関係ができつつあった。    ・・・  私たちは月に一度のペースを最低限に守ろうと決めて会う時間を作っていった。時にはカフェに行きドライブに行き、トークテーマを決めずに自由に語り合う。  それで鯉のぼりを見せてくれたのだった。  たまにお互いの家に行くときは、ドキドキしてしまって何を喋ったのか実に覚えていなかった。  ユカさんの誕生日を教えてよ! 彼が照れくさそうにしながらも尋ねる表情に、私の心はときめいていた。
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