スライム

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スライム

ライト「……え、えええええ、えっ、えー!?? か、可愛い娘、連れてきたけど……なになに……その娘?? スライムじゃねーだろ??」 「……い、いえ、スライムの……パウリナちゃんです……そ、そんなに可愛い、でしょうかね?」  レフトはどうしてか不機嫌そうに見える。 パウリナちゃん「はっじめまして……パウリナでーす」 ライト「へ、へーーー……これが、スライム?? いや、あの、てっきり……ドロンとした、ドロドロヌルヌルのやつなのかと思ってたから……さ……」 パウリナちゃん「……ドロドロにもなれるでっしゅ……ほら〜〜〜」 ライト「お、おーーーっ!! 腕や脚が……ドロドロ……に……」 「…………。はぁ〜〜……スライムはどんな姿にもなれる不定形生物です。冷気、火炎などの急激な温度変化には弱いのですが、打撃や斬撃といった攻撃はスライム相手には効果がありません。この身体で衝撃を分散し、吸収してしまうため、とても優秀な防御力があります。スライムに防具はいりません。実戦となった場合、先程のアックスドラゴンやダンタリオンには装備品が必要です。また、人間が使う武器を持たせると、スライムの攻撃力を強化できます。パウリナちゃんを見るとわかるでしょうが……何本でも、人間でいえば……腕を作り出せるため、一本一本にそれぞれ別の武器を握らせると、どんな相手にも対応できるようになります」  口をとがらせたレフトは説明書を読むように言い終えた。 パウリナちゃん「……ね? ……ね? ほらほら〜〜腕、十本でしょ!!」 ライト「……い、いいね……パウリナちゃん……よく見ると透明感があって、ぷるぷるしてて……なによりも可愛いし……気に入った……わ……もろ、タイプだし……」 「……そーうですか? ……あーあ……よかったね、パウリナちゃん」  レフトはつまらなそうである。 パウリナちゃん「わ〜〜〜いっ!!」 ライト「……ああ。ああ……気に入った……気に入った……この、スライムの……パウリナちゃん……で行きます……行かせてください……あ、あと……さっきはごめん、ごめんな、レフトさん……いろいろあって、オレ、イライラしてたんだよ……ホント、ごめん……」 「……いいですよ、別に。で……では、パウリナちゃんをお貸しいたします。料金は、1400アルス……ですから」  レフトはぶっきらぼうに言った。 ライト「おうッ!! これからが、オレの冒険の始まりだぜぇッ!!」 パウリナちゃん「だぜえいっ!!!」 「……はいはい。それでは、ライトさん、こちらの書類にサインをお願いします。……パウリナちゃん……彼を助けてあげるのよ。……はぁ〜あ〜」  レフトは失恋してしまったかのような顔をしている。  …………レフトの気持ちはともあれ、ライトとモンスター達との冒険はここから、始まったのであった。
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