悪魔の公爵

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悪魔の公爵

ライト「…………あ、あぁ……ぉぉーーこ、これは、これで……お、おっそろしい……な……ほ、ほんもの、だ……は、放ってるオーラが尋常じゃねー……すんげぇ、目つきしてっしよ……マ、ママ、マジのヤツだ……コレっ……機嫌そこねっと、ヤベえヤツだ、コレっ……」 ダンタリオン「……若造。貴様が、われと契約を結びたい人間か。……よかろう。若造よ、われと血の契約を結べ。それにより、われは貴様に従う。われは貴様の望みをなんなりと叶えてやろうぞ。……若造、ちからが欲しいのか、世界が欲しいのか、永遠の生命が欲しいのか、そのすべてが欲しいのか? ……残らず、与えてやろう、われが貴様へな。……さぁ、若き血を流せ。この契約書に貴様の血を垂らせ。それにて、契約の儀は完了となる」 ライト「あ、あっぶねぇなぁッ、なんで、サビだらけの短剣だすんだよ!? ち、血ぃ……!!??? ち、血で……契約すんの!?? レンタルって、そーいうもんなのおぉ!!??」 「……ダンタリオンとの契約には……(あるじ)となる者の……血液が必要です。レンタル料金は……べ……別にかかりますぅ……」  女はもじもじして述べた。 ライト「はっ……!! レ、レンタル、レンタル料はいくらなんだよ!? この……ダン、タリ、オン……のレンタル料は……?」 女「9900アルス……になります」 「9000? 900?? ……バ、バカーーっ!! さっきのより、上がってんだろーが!! 9900って、なんだよ、オイ? さっき来た、ガイーシャくんよりも高くなってるだろー!? オレ持ってねーよ、そんなによーー!! あんた、バカか? どういう神経してんだ? ……数字わかんねーのかァ!? 血の契約も恐ろしーけどな、あんたの、ボケっぷりもおっかねぇよ! オレが最初に言ったこと、なんもわかってねーのかよぉ? ……ナメてんのか、女だからって、オレはよーしゃしねーぞ、ああん、おい、コラっ、てーいんさんよぉっ!?」  カチンときたライトは女の胸ぐらを取った。 「……はぅっ、はふううッ!?」 「ゃゃゃや、やめい! わ、若造、この御方をどなたと心得とるのだ!! ……き、貴様、こ、この御方はな……」  ダンタリオンはライトと女の間に割ってはいった。 「し、しぃーーーーーっ、い、いいの、いいのよ、ダンタリオンってばぁ……」  意中の人にがっしりとつかまれ、顔を寄せられた女は焦っている。 ダンタリオン「し、しかし、レフト様……」 ライト「あぁ? しぃーじゃねーよ、コラッ……あんた、レフトって名前なのか? ……おい?」 レフト、と呼ばれた女「……しょ、しょうです……はぅ……う、ううっ……ぁあの……たた、たいへん失礼なのでしゅが……ライトさんは、おいくらほど、お持ちなのでしょうか? この店でモンスターをレンタルするぅご予算として……どの程度……見積もっておられるの、でしょう……ぉ、教えてくだしゃい……」 「……へっ?? ご予算? 見積もってぇ? ……え、えーと……オレは……ぁ、あの、その……ぉ……」  詰め寄っていたライトはレフトから手を離した。 「……はぁ、はぁ、はぁ、はぅ、うぅ……どうしょ、どうしよぉう、この星に残されて、10000年以上、経っているのにぃ……こ……こんな気持ちぃは、初めてぇ……。はぁはぁ、はぁ……ずっずっと、ライトさんと一緒にいたい……い、いっしょにいたいよぅ……。……こ……これが、人間の言う、一目惚れ、だというのっ……。……は、はぁ、はうぅぅ〜〜」  赤面したレフトはへたり込み、肩で息をしている。 ライト「……ぁ? なに言ってんだ? あんた?」 ダンタリオン「真実を述べるのだ、若造」 ライト「あ、ああ……わかった、わかったよ…………オ、オレは……いま、1500アルス……も、持ってない……えっと、昨日、酒場で飲み食いしたから……1450アルス……くらい、かな……」 ダンタリオン「それですべてか?」 「…………ああ……そう、だ……たしかに、たしかに……1450で……すべて、だ……ウソはつかねぇよ……」  ライトは財布を取り出して、中身を確認した。 ダンタリオン「彼は嘘を申してはおりません」 「……はぁ、はぁはぁ、ぁ、ぁの……ライトしゃん、残念ですぅが、所持金1450アルスでは……ウチの店では、スライムくらいしか、かか貸すことができません。……ス、スライムのレンタル料金は1400アルスとなっております……ので……」  胸に手を当てたレフトは立ち上がった。 ライト「……あ、なら、なら……ス、スライムでいい……スライムでいいから……貸してくれよ……頼む!! さ、先に言っときゃよかったな……ごめん!!」 「……わかりました、わかりました。ま……待っていてください。では、ダンタリオン……戻りましょう……」  全身をしっとりとさせたレフトは返した。 ダンタリオン「御意。……さらばだ、若造よ」 ライト「……あ、うん……じゃーな……ダンタリオン……ありがとよ……」
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