第1章 お見合い相手は同業者!? その場で結婚決まりですか?

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「違うのよ! ほら、なんていうか、奈緒(なお)って、私と一緒だったじゃん、ずっと……」  湊介の手を振り払って、私はまた海に視線を向けた。  ……オレンジ色の夕日がとてもきれいだ。……二次会、断って正解だったかも。 「なのに、なんていうか、私を置いて大人になったなぁって、思ってしみじみしただけ」  恋愛感情も分からない。初恋もまだ。恋愛経験値はゼロで、小学生以下。奈緒も、私と一緒だった。……高校時代は。 「まぁ、私は結婚しなくても、適当に生きていくからいいんだけれどさ……」  生まれから、まともな結婚は出来ないとわかっていた。だから、結婚願望は薄いほう。  でも、今後きっと。 (今後、友人の結婚式に参列するたびに、こんな気持ちを抱くのかな……)  そう思ったら、なんだか惨めだ。 「……湊介」 「はい!」 「帰るわよ。車出して」  だけど、いつまでも落ち込んではいられない。……奈緒は私の親友の一人。結婚を祝福しなくちゃ。  そう思いつつ、私は黒塗り高級車の後部座席に乗り込む。運転席には、湊介。 「じゃあ、屋敷に向かいますね!」 「えぇ」  端的に返事をして、流れる景色を見つめた。  羽賀(はが) すみれ。年齢は二十一。……今日、友人が結婚しました。
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