第1章 お見合い相手は同業者!? その場で結婚決まりですか?

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 海から車を走らせること、約一時間。  街の喧騒から少し離れた静かな場所。門についたインターフォンに、湊介が声をかける。 「お嬢のお帰りですぜ。出迎えよろしく」  ……正直、出迎えなんて必要ない。でも、これがこの羽賀家の伝統だから仕方がない。  そう思いつつ、私は湊介に車のドアを開けてもらって、地面に足を付ける。  瞬間、強面の男たちが一斉に頭を下げた。 「おかえりなさいませ、お嬢!」  一糸乱れぬ動き。そして、一言一句変わらない言葉たち。  それを聞きつつ、私はそばに来た湊介に持っていた鞄を手渡す。  その後、屋敷の玄関まで歩く。頭を下げる男たちの間を通り抜け、振り返る。 「もういいわよ。ご苦労様」  端的に言葉を告げれば、男たちは「へい!」と声を上げ、それぞれ持ち場に戻っていった。 「いやぁ、お嬢。本日は本当にお疲れ様でした!」  湊介は、ニコニコと笑いながら私の側に寄ってくる。湊介は羽賀家の人間ではないので、男たちの間を通ることが出来ない。なので、横道から私の元にやってきたのだ。……こういうの、面倒だと思う。  だけど、やはり伝統だから仕方がない。 「あ、そういやお嬢。先代が来てるっていう報告上がってます!」 「そう」 「なんでも、お嬢に大切な話があるとか、なんとか……」  湊介がきょとんとしつつ、そう言う。……大の男のきょとん顔は、大して可愛くない。いや、この家に住んでいる男の中では、湊介は可愛い部類なの……かな?
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