恋して愛して

17/22
4235人が本棚に入れています
本棚に追加
/213ページ
「で?」 晃司くんにワインを注いでもらいながら唱さんがもう一度聞く。晃司くんの口から出た県名に 「お姉ちゃんとテルくんのいるところだ…」 と思わず呟く。 「あ、そうだったね。茉優ちゃん、チラッと一度言ってたね」 そうだったかもしれない。晃司くんと健人くんとそんな話をしたかな。 「私は行ったことないなぁ」 「新幹線でビュッと、わりと近いよ」 「ふーん。晃司クン、海外ならどこ?」 「インドネシア」 「あ、お姉ちゃんたちのことはよく覚えてないけどインドネシアの話を3人でしたことあるよね。健人くんのところの新作デザインだとか、うちの仕事とか…インドネシアか…今、結構投資マネーが集まってるよね」 デメリットやリスクはあるけれど、企業が投資したい国の上位ではあるだろう。 「茉優さん、仕事の話するんだ…初めて聞いた」 仕事の話までいってないけど。 「茉優は優秀な企業人で知識も能力もある。世界中、どこでもやっていける才能がある」 「そうだね、晃司くん。でも例えばだけど、茉優がインドネシアで仕事が出来るとして絶対に行かないよ?巨大なサントローホールディングスで茉優しか出来ない仕事をしてる。国内でだって…茉優は転職しない」 うん? 「唱さん、私、誘われてもいないから」 「うん、知ってる。大丈夫だよ」 「うん」 「もおっ、ホントイチャイチャだね。早智ちゃん、大丈夫?」 「大丈夫。二人の音に慣れた」 「ボク、早智ちゃんをソンケー」 「してないくせに」 健人くんに被せた早智さんの言葉に皆が笑った。
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!