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「で?」
晃司くんにワインを注いでもらいながら唱さんがもう一度聞く。晃司くんの口から出た県名に
「お姉ちゃんとテルくんのいるところだ…」
と思わず呟く。
「あ、そうだったね。茉優ちゃん、チラッと一度言ってたね」
そうだったかもしれない。晃司くんと健人くんとそんな話をしたかな。
「私は行ったことないなぁ」
「新幹線でビュッと、わりと近いよ」
「ふーん。晃司クン、海外ならどこ?」
「インドネシア」
「あ、お姉ちゃんたちのことはよく覚えてないけどインドネシアの話を3人でしたことあるよね。健人くんのところの新作デザインだとか、うちの仕事とか…インドネシアか…今、結構投資マネーが集まってるよね」
デメリットやリスクはあるけれど、企業が投資したい国の上位ではあるだろう。
「茉優さん、仕事の話するんだ…初めて聞いた」
仕事の話までいってないけど。
「茉優は優秀な企業人で知識も能力もある。世界中、どこでもやっていける才能がある」
「そうだね、晃司くん。でも例えばだけど、茉優がインドネシアで仕事が出来るとして絶対に行かないよ?巨大なサントローホールディングスで茉優しか出来ない仕事をしてる。国内でだって…茉優は転職しない」
うん?
「唱さん、私、誘われてもいないから」
「うん、知ってる。大丈夫だよ」
「うん」
「もおっ、ホントイチャイチャだね。早智ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫。二人の音に慣れた」
「ボク、早智ちゃんをソンケー」
「してないくせに」
健人くんに被せた早智さんの言葉に皆が笑った。
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