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「ジャンケンする?」
「茉優ちゃん、おこちゃま〜最初はグー、ジャンケン…」
結局やるんじゃないか、健人くん。
金曜日の夜、私たちは何となく一緒になったリビングで丸い座卓を囲んで珈琲を飲み
「ホイ」「ポイ」「ポン」
ジャンケンに続く掛け声は相変わらずバラバラのまま、綺麗にグーチョキパーを出す。健人くんの
「あいこで…」
のあとは無言で指を動かし続け
「やっとか…」
晃司くんが呟くのも無理はないほどあいこを重ねたあと、私がパーで負けた。
「言い出しっぺの茉優ちゃん、よろしく」
「はぁい」
「…茉優…ジャンケン弱いのによく言うよな…」
私は晃司くんにあっかんべーをしてから、マグカップをみっつ持ってキッチンへ行くとスポンジを手にした。
「ボク、お風呂いい?」
「いい」
私の背後では浴室の順番を声掛けている。私は仕事から帰ってすぐにシャワーをしたので関係ない。
一日中、誰とも顔を合わさない日もたまにあるけれどそれも、今夜みたいな夜も含めてシェアハウス生活は想像以上に快適だ。
シェアメイトがいい人達だというのは第一の理由だろう。さらに、私がシェアハウスに入居するきっかけとなったミニマル生活が心地よい。
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