終章 幸せをもう一度

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 エルマの母親ももうすぐ来るはずだ。時々会いにいってまた一から薬作りを習っている。父からはこちらへ来るのは遠慮するとの手紙と花束が贈られてきた。スズランの花だ。  それを見たドロシーが言う。 「スズランの花言葉は『幸福の再来』よ。二人にはぴったりね」  エルマはしばし、その小さな花たちをじっと見つめた。  父は今、中央を退(しりぞ)いて静かに領地での仕事に専念しているという。母とも時々会ってはいるようだ。  許すとか許さないとか、少なくともエルマには言えない。  誰だって判断を誤ることはある。  修正できただけ幸運なのだ。あとはエルマより頑固と思われる母の気持ちがほぐれる日を待つのみ。無理なら無理で仕方がない。  それは、エルマとは別の二人の物語なのだから。  ウェディングドレスはアンがデザインしたという。  腰からふんわりと広がったスカートに重ねられたレースは、何か月もかけて編んだらしい。胸元につけられた細かな刺繍は、洋服にさして興味のないエルマでもあまりの見事さに見とれてしまった。  袖とスカートの裾には細かなビーズが縫い付けられて、光に当たるとキラキラした。
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