終章 幸せをもう一度

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「エルマさんがいない間、東奔西走して大変だったんですよ。早く見つけないと、狂ってしまわないかと心配してましたよ。悲愴な顔を見せてあげたかった」  レオンの顔を見ると気まずそうにうつむいて無言を貫いていた。 「私がいなくてそんなに辛かったのか」 「ま、そりゃな」  注がれたワインを一気飲みして、レオンはむすっとしていた。  宴の間、ハンネスはアンにひっきりなしに話しかけていた。 「ハンネスは、アンが好きなの」 「さあ。もう二人とも大人だから放っておく、なるようになるさ」 「アンは鈍感そうだから」 「エルマが言うか。それを」 「私は成長した」 「まぁ、そういうことにしておく」  今夜はなんだか世界のすべてが明るく華やいで見える。 「おい、なんかへらへらして様子が変だぞ」 「シャンパンを飲んだ。おいしかった」  初めて飲んだ酒は思いのほかおいしくて、おまけに気分がとても良くなった。    帰り道、レオンに支えられ馬車に乗る。もう辺りは真っ暗だ。 「楽しかった。好き。ずっと一緒にいたい」  あまり普段こういうことを言わないせいか、レオンも一瞬驚いた顔をしていた。
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