終章 幸せをもう一度

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「毎日言ってくれてもいいんだぞ」  羽でも生えたように足取りが軽くなり、ふわふわした気持ちが続いていた。   エルマがよろよろ玄関に倒れこんだ。 「レオン、抱っこ」  レオンが言うとおりに寝室まで運んでくれた。 「どうしたらこんなに筋肉が固くなるの?」  饒舌になったエルマはベッドに寝転んで、レオンの体のあちこちに触れる。 「毎日鍛えているからな。体が資本の仕事だし」 「同じ人間と思えない」  隆起した胸筋から腹筋にかけて、触れて確かめてみる。性別が違うとはいえ、華奢な体のエルマとは別の生き物のようだ。 「私も鍛えたらこうなるの」 「なれないし、ならなくていい」  まだ酔いの醒めないエルマの様子に、レオンが心配そうな顔をする。  指になにかをつけられた。見ると、水色の石が金の土台についた指輪だった。 「渡しそびれた」  式の最中に指輪を交換するというのは知っていた。こっそり二人きりの時に渡すというのがレオンらしい。  どちらからともなく、唇が合わさった。寝室のランプを消すと指輪の石が紫色に光った。 「どうして? レオンも魔術を使えるの」
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