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BOUGENG
『BOUGENG!!』
『今年も遂に始まったぜ、愚民共ォー!
一年に一度開かれる大会、『BOUGENG(ボウゲング)』!
うわべだけの誉め言葉に、聞きたくもない説教の数々、そして理屈のない欺瞞や安い言葉に疲れた馬鹿共が、今宵この『煽(あお)リング』の上に集まったァあああ!!』
うおおおおおおおお!!
大きな舞台の横で、燕尾服を着た司会者がテレビカメラと観客達に興奮を盛り上げるように大会を宣言し、
観客達はその興奮を歓声に変えて舞台全体に広げていく。カメラの向こう側にさえ同じように盛り上がる人々がいる事はその場にいる者なら誰でも理解出来るだろう。
大炎丈二(だいえんじょうじ)はその歓声を控え室の映像からまっすぐ見つめていた。
映像の中では司会者が興奮そのままにこの大会の趣旨やルールを説明している。
『今大会の司会を勤めさせていただく『悲望中将(ひぼうちゅうしょう)』だ!愚民共よろしくぅ!
それでは今大会のルールを説明しよう!
今回、一回戦は『ターンロイヤル』、二回戦からは『フリースタイル』ルールで行われる!
ターンロイヤルルールではまず、二人の選手が互いに先攻後攻を決めた後、一ラウンド二分の時間が与えられる!
その間に先攻選手は後攻選手に向かい、ありとあらゆる暴言・・いや『BOUGEN』をぶつける!
それに対し後攻選手はただの一言も言葉を返してはいけない!
一言でも言葉を返せば『E-WAKE(いーわけ)』とみなされ相手に一点得点が入ってしまうぞ!
更にその『BOUGEN』を五人の審査員が審査していき、それら全てが得点とかされていく。
そして二分過ぎれば今度は後攻の番!
後攻選手もまた二分間、先攻選手に対し『BOUGEN』をぶつけていき得点を増やしていく!
そうして互いに二ラウンドが経過した後、互いの得点を計算し、多い方が勝者になる!
但し、勝負中に決められた線を越えたり、観客達に扇動したり、暴力を振るった場合はその時点で失格です!
選ばれた八人のトーナメント!その中で優勝者は一体誰になるのかーーっ!』
「そんなの分かりきってる、俺がなるのさ・・」
控え室の中で一人、丈二は静かな闘志を持って答える。
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