手紙

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 そうだ、ミチちゃんの家に行こう。  ぼくはとつぜんそう思いました。ミチちゃんはかわいくてみんなからモテモテで、だれかにとられたくないと思ったからです。  毎日書いてすてられなかったいっぱいのラブレターをかかえて、ぼくはミチちゃんの家に行きました。スキと言うのがはずかしかったから、このいっぱいのラブレターをわたそうと考えてました。  ミチちゃんはとつぜん来たぼくを見ておどろいたかおをしていました。泣いていました。ぼくはなにも言わないでミチちゃんに手紙の山をわたしました。ミチちゃんのかわいいかおを見ていると、ぼくは何もしゃべれなくなるからです。 「たっくん、まって」  ぼくが行こうとするとミチちゃんが言いました。声がふるえてました。 「いま、お母さんよんでくるから、まって」  どうしてお母さんをよぶのか、ぼくにはわかりませんでした。ぼくは怖くなって走りました。とおくでミチちゃんがお母さんをよぶ声がきこえました。  走っていると、きゅうに体がさむくなってきました。きもちわるくて、どうろにすわりました。音がきこえません。見えてるものが赤くなっていきます。なんだかとてもさびしくなりました。体から力がぬけて、どうろにねころびました。  まっ赤な空を見ていると、ミチちゃんとミチちゃんのお母さんのかおがあらわれました。ミチちゃんはやっぱり泣いていて、ミチちゃんのお母さんは怖いかおでなにかさけんでました。  白いヘルメットをかぶった男の人たちがたくさん来て、ぼくになにか言っています。  とてもねむくなって、まわりがくらくなっていって、こわくなって、でも、ぼくはそれよりもラブレターのへんじがきになりました。ミチちゃんは泣いてたから、きっとぼくをキライなんだと思います。さいごにミチちゃんのわらったかおがみたかったです。
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