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「ここのおくすりはね、才能を伸ばしてくれるんだ。でも、100メートル走三位の人が二位になるぐらいの話で、ビリの人が1位になることはない」
「ない才能に薬を付けても何の効果も発しない?」
「カホは何のおくすりが欲しい?」
「わたしは別に何も」
「このごろ元気がないよ。悩んでいるんでしょう?カホは漫画家さんだったっけ?」
「漫画家って言ってもそれで食べていけるようなもんじゃないから、清掃のバイトしてる」
「セイソウ?」
「お掃除」
たまに日本語が下手になるジャン。クスリが切れているのだろうか。
「絵が上手になるおくすりや、面白いお話を考えられるおくすりもあるよ」
クスリに頼るなんてしたくない。
でも、漫画家なのに絵が苦手だ。下手じゃないんだけど満足行く絵が描けるまでものすごい苦労する。天才ならパパっと描けるんだろうと思う。
「おくすりの効き目は1日ぐらいだよ。効き目が切れたらキミは元に戻る。なんのリスクもない」
一回
一回だけ
飲んでみようかな。
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