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かつて花形人気講師で、メディアにもよく登場していた某氏のニュースを見たのは、つい最近の事だった。荒ら屋のような一室に、カップ酒を片手にインタビューに応じていた姿は、浪人生達を歓喜させていた姿からはほど遠いものだった。それから程なく、彼の訃報を目にした。
「何故、最後の姿まで追う?。夢は十分見させて頂いたのに、もういいじゃ無いか。」
尋(ひろし)は少し憤りの混じった感慨を抱いた。それは、かつて自身が経験した事に酷似していたからだった。そして今なお、尋はその頃の恩恵と、何ともいえぬ違和感を同時に抱えていた。
もう随分昔のことである。ろくに勉強もしなかった尋は、それでも進学の夢は捨てきれず、とある場末の予備校に入学した。大手予備校だと、試験で弾かれて入れてもらえないと思ったからだった。入学の手続きを終えると、早速授業に臨んだが、案の定、ちんぷんかんぷんだった。そりゃそうである。それでも、講義のノートを写していれば、何か勉強をした気分にはなれた。講師達は淡々と授業を進めるだけで、取りたててパフォーマンスもしなかった。やはり人気講師は大手にのみ存在しているのかと、尋は思っていたが、
「現代文とはな、こういう風に読むんだよ!。」
と、一刀両断な講義をする男性が、突如現れた。一見優男(やさおとこ)だが、眼鏡の奥の眼光鋭く、まるで論理学者か数学者のような分析で、うじうじと文章を評するのでは無く、公式を解くかのように、解答の導き方を、荒っぽい文字で黒板に書き殴った。
「いいか?、どんな文章にも、筆者の思考が反映される。そして、人間の思考とは、この方法論以外には無いんだ。だから、それを頭に叩き込め!。」
明快な言語と定義で行われる彼の講義は、尋に衝撃を与えた。浪人という、今後くらい人生を歩む事を前提と受け止めていた尋にとって、それはまるで閃光であった。
「こんな風に物事を一瞬で割り切って考える事が出来たなら、人間はそんなに悩まずに済んだろうに。」
以来、尋は彼の講義を食い入るように聴講した。それから数日後、尋は予備校の受付の上に貼りだしてあるクラス分けの名簿に、見覚えのある名前を見つけた。
「あれ?、アイツ、こんな所に来てるのか?。」
あまり無い苗字だったので、その名を見つけるのは容易だった。ただ、何で彼が此処にという疑問が尋に湧いた。その人物は、尋の中学校の同級生だっった。成績もかなり優秀で、やがて彼は進学校に、そして尋は特に冴えない学校に進んだ。きっと受験も上手くいって、いい大学にでも進んだんだろうと思っていたら、こんな所で名前を見かるとは。と、その時、
「あ!。」
「よう!。」
と、二人は階段付近で突然出会った。
「お前も此処だったのか?。」
「ああ。」
尋は感情を露わにして驚いたが、逆に彼は冷静に相づちを打った。少し話を聞いて、何故彼が此処にいるのかの疑問が氷解した。特待生だった。頭のいい連中は、学業の世界ではいつもいい目を見ることが出来る。その一端だった。彼は特進コース、尋はごく普通のコースでクラスは別々だったが、オプションで受講出来る、とある授業では一緒になった。それが、例の現国の講師が行う小論文の授業だった。尋は知らなかったが、その講師はかなりの人気講師だったらしく、大教室で行われた第一回目の講義は、通路も人で溢れるほどの受講振りだった。特待生の友人は前列の方に陣取り、尋は後部の方に何とか潜り込めた。やがて講義開始のチャイムが鳴ると、黒スーツに身を包んだ優男がひしめく生徒をかき分けながら教室に入ってきた。
「えー、先日の答案を添削してみたが、結論からいうと、惨憺たるものだったぞ!。」
尋は、希望者は事前に小論文を添削してもらえることを知らなかった。問題は、数年前に某私立大学で出題された、中原中也の詩の一節だった。その文章から、中也の真意を述べよという内容だった。友人を含め、前列には名だたる高校からやって来た特待生連中が陣取っていたようで、彼らの出した小論文は悉く酷評された。
「お前ら、こんなことも読み取れないのか!。全く・・、」
若くして逝った天才詩人の述べたかったことの何たるかなど、尋には知る由も無かったが、その講師を通じて、中也という人物の見ていた世界観が、尋にも伝わってきた。というより、心の中に流れ込んできた。すると、
「一人だけ、正解に掠った者がいる!。」
そういうと、講師は何と、友人の名をあげた。
「中也がこの詩でいいたかったのは、決意だ!。」
この、溢れんばかりの教室にありながら、かつて詩人が思い描いた世界を共有出来たのは、たった二人。尋は自身と友人との距離が、あらためて離れていくのを感じた。学力の違いというものが、そんなにまで世界の真髄を見る眼までも違えてしまうのかと。かつて教室で馬鹿話をしていたアイツが、そんな所までいってしまうとは。尋は羨望の念と、それを何処となく認めたくないという感慨で、彼を眺めていた。
「もっと、あの講師先生の話を直に聞いてみたいなあ・・。」
尋は日に日にそう思うようになっていった。尋は文学青年でも無く、ましてや読書好きでも無かった。しかし、あの講師は連日のように、文学の世界を渡り歩くような夢を見させてくれた。書店にいって、自身で名著を手に取ってみても、やはり内容はちんぷんかんぷんだった。圧倒的に語彙量が足りなかった。昼休みや講義が終わった際に、尋は質問を用意して講師控え室までいこうとしたが、彼の人気っぷりは実に凄かった。常に取り巻きの生徒がいて、帰りしなに喫茶店に入っても、彼の周りを特待生や華やかな女子生徒が取り囲んだ。尋は此処でも末席のさらに端に座って、遠巻きに彼の話を聞くだけだった。そんな日々が何時までも続いたが、尋は片時も彼の講義を聞き漏らすまいと必死になった。そしてある日、
「すいません。質問が・・。」
尋はやっと彼に質問をする機会を得た。彼はサンドウィッチを囓りながら、
「ん?、何?。」
と、淡々と応じてくれた。
「実は・・、」
尋は講義の話では無く、自身の心に抱えている悩みを打ち明けた。それは自死についてだった。悶々としか生きられない自身の姿を、尋はどうしても好きになれなかった。そんな状況から脱却するには、目の前の彼のような明晰な頭脳が必要ではないかと考えていた。すると、
「キミは、エレンディラに似ているな。孤独に苛まれてて。」
と、彼はとある小説に描かれた登場人物に触れた。それは、有名な南米のノーベル賞作家が書いた小説の作中に登場する人物だった。
「読んでみるといいよ。そして、考えて、考えて、考え抜くんだ!。自分が何者かということを。」
「はい。有り難う御座いました。」
尋は教えてもらった内容のことよりも、ようやく訪れた二人っきりの時間に感動していた。そして、授業が終わって校舎を出ると、尋は書店に向かった。そして、死に物狂いで彼に教えてもらった本を探した。ようやくのことで、尋はその本を見つけた。
「タイトルもエレンディラだったのか・・。」
小さな文庫本だったが、そこには尋が渇望する秘密が書かれている。尋はそう思いながら、早速家に帰って、読み慣れない小説に没頭した。しかし、内容は極端に幻想的で、尋が理解するには難解過ぎた。冒頭の堕天使の話も訳が分からず、エレンディラに至っては、若き娼婦が陰惨な事件を起こすという風にしか、尋には映らなかった。答えどころか、筆者が何をいいたいのかすら解らなかった。
「アイツなら、何が書いてあるかは解るのかな・・。」
翌日、尋は例の友人に、その小説のことを伝えた。
「うーん、オレにもよくは解らないよ。」
尋は正直、そういう返事が返ってくるだろうなとは予想していた。彼は確かに勉強は出来た。それは知っていた。だが、そんなに冴えているとか、何か文学的に際立ったものを持っているとは思っていなかったからだった。極めておっとりとした性格で、全然感情的では無かった。それだけに、緻密に論理を組み上げて、物事の結論に向かうという脳内の思考は、表立っては見えなかった。しかし、それぞれが別の学校に進み、彼が同じレベルの優秀な連中と切磋琢磨している間に、その理知的な部分に磨きがかかったのだろう。他方、尋はというと、厄介な連中と連んだりと、裏社会の一端を垣間見るような生活を送っていた。やはり中学生の頃に同級生だった別の友人が、若くして事務所と呼ばれる場所に出入りするようになり、その筋の人達の世界を、尋に面白おかしく語った。そんな友人の一人があるとき、自身が家を飛び出してから、とある組織の世話になったり、半殺しの目に遭いながら命からがら逃れた話を淡々とした。そして、
「お前には圧倒的に人生経験が足りないよ。」
と、バッサリと尋の現状を切って捨てた。その通りであった。返す言葉も何も無い。尋は自身の浅薄さを見透かされて、虚無状態であった。
「今、何をしても、何を語っても、オレは無価値だ。」
予備校で出会った友人も、裏社会を出入りする友人も、自分よりはずっと前を歩いている。そして、自分が何者なのか、何を求めようとしているのかを、遥かに知っている。尋は、叫ぼうにも語彙は無く、踏み出そうにも全く地に足が着いていなかった。誰と戦ったのか解らず、対戦相手無き試合の敗北者として生きるのみだった。
冬頃になると、浪人生活の成果が一向に見られないことも、尋は十分自覚していた。例の講師の時は真剣に講義を聴きつつも、それ以外は全く身が入っていなかった。そんなお座なりな生活は、やがて不合格という現実を突きつけたが、尋は別に驚くでも無かった。彼は自身の怠惰から目は背けなかったからだった。だが、
「オレも駄目だったよ。」
と、予備校の友人も同じく不合格なのには驚いた。あれだけ優秀な学校に進んで、あれだけ講師から認められながら、受験は上手くいかないとは。しかし、このことが、さらに二人を結びつける結果となった。
尋は自身の実力が受験にほど遠いと悟ると、近所の酒屋でバイトを始めた。受験を諦めた訳では無かったが、モチベーションが上がらなかった。何より、時間を埋めながらお金でも稼いでおこうと考えていた。それが、自身に足らない何かを埋める手立てになるかもとも考えていた。そんな矢先、
「オレ、例の講師に呼ばれて、今、彼がやってる私塾に通ってるよ。」
と、共に受験に失敗した友人から連絡があった。何でも、例の予備校を辞めて、自身の教室を起ち上げたとのことだった。そして、優秀な友人他数名が生徒として其処に通っているとの事だった。尋は心臓が飛び出しそうになった。
「また、あの人に会える・・。」
尋は友人に頼んで、自身も其処に入れるかどうかを聞いた。
「いいんじゃ無いかな?。別に。」
友人は飄々と答えた。尋はバイトを続けながら、自身の学費を捻出しつつ、その教室に通うことになった。あんなに混み合って、なかなか聞くことの出来なかった講義を、至近距離で聞くことが出来る。そして何より、自身の思うところを思うままに、彼に質問することが出来る。いや、そうで無くとも、息吹の感じられる距離でいられる。実際、その通りであった。僅か数名の生徒ではあったが、毎日の講義は、彼の思いを汲まなく表現する舞台その者であった。毎回、難解な文章の抜粋がコピーされ、それを題材として問題を解く。その後、彼の辛辣な批評を受けつつ、講義が進む。文学的素地の無い尋にとって、それは正に文豪の真髄を一足飛びに吸収出来る絶好の機会であった。講義が終わると、其処は飲み会の場に変わり、みんなで飲みながら議論をしたり、騒いだりした。彼ははしゃいで実に楽しそうだったが、下戸の尋はみんなの雰囲気に気後れしながらも、その空間を共有出来るだけで幸せだった。その教室は尋の家からかなり遠い所にあった。毎日、終電前に友人と二人で地元まで帰りつつ、地下鉄の駅を上がると、その日に学んだ内容について、夜更けまで語り合った。不器用にして、知的欲求を満たしたいと思いつつも、それがままならない現実。しかし、エネルギーの発露の場を常に求めていた二人の議論が尽きることは無かった。
「お前は理性的過ぎるんだよ!。」
「お前が感情的過ぎるだけだよ!。」
一つの現象を、二人は互いに異なる側面から見つめていた。故に、その立場や価値観の違いが、往々にして意見を異にさせていた。あくまでも、おっとりとした、それでいて頭脳の切れる友人。対して、常に感覚で本質を探ろうとする尋。春の終わり頃から通い始めて、夏過ぎには蚊に刺される事も全く気に解さず、いつものように議論に明け暮れる二人。宗教や哲学、そして文学、題材には事欠かなかったが、如何せん、二人が論ずるにはテーマがあまりに壮大過ぎた。太古の若者達も、どうしようも無いエネルギーを、こんな風にぶつけていたのだろう。
夏が終わりかけの、ある日のことだった。尋達が通っていた私塾に、新たに一人の生徒が加わることになった。すらっと背の高い、美貌の女性だった。尋はすぐに心奪われたが、奥手な彼に為す術は無かった。遊び慣れている他の生徒達は、上手い具合に彼女と会話を交わしつつ、その距離を詰めていった。そんな様子を、尋は傍らで見守るしか無かった・・はずだったが、
「僕はキミのことが好きだ!。」
と、柄にも無く、ストレートに彼女に告白をした。その空間に漂う、エネルギッシュな何かが、彼をそうさせた。彼女は戸惑いつつも、上手くその場を躱していた。それから数日が過ぎたある日、
「ちょっと話があるんだ。」
と、友人が尋にいってきた。何事かと思い、聞いてみると、
「実はな、例の彼女が、オレのことを好きだっていってきたんだ。」
友人は、尋が彼女を好きなことを、尋から聞いて知っていた。それだけに、幾分、申し訳無い気持ちもあったのだろう。尋はとどまるところを知らないモザイク模様のような景色が頭を掠めた。感情も言葉もぐちゃぐちゃだった。そして、ついて出た言葉が、
「良かったじゃないか!。」
ただ、それだけだった。そして、満更でも無いならば、是非付き合えよと、友人の背中を押した。そして、その日以来、尋は私塾に通うのをやめた。いや、動かなくなった。生物としての最低限の部分以外、機能しなくなった。一日の始まりが闇の中で始まり、気がつけば、一日の終わりが闇と共に訪れた。眠っているのか、起きているのかの境目さえ無くなった。
「生きながらにして死んでいるとは、まさにこういうことかな・・。」
などと、たまに言葉の羅列のようなものは頭に浮かんだが、それ以外、何も起こらなかった。尋は喪失感の真っ直中にいた。失恋の痛手もさることながら、何より、もう、彼の講義を受けることは無いのかと思うと、いたたまれなかった。私塾に残っていた友人とは、時折連絡を取りながら、その後の様子を聞いてはいたが、それも所詮、自身の人生と重なり合うことの無い世界だと、まるで最果ての地の出来事のように聞くだけだった。友人と彼女は、その後は特に進展も無かったようだが、最早、尋にはどうでもよかった。
翌年の春、友人は大学に合格し、例の講師が主催する予備校の設立に、右腕として尽力していった。対する尋は卯建の上がらないまま、その後を過ごしていた。自分の周囲も、この辺りが潮時と、浪人を重ねるのをやめて仕事に就いていった。しかし、尋の心の中には、何か、どうしても埋めることの出来ない物足りなさがあった。
「この世に生きて、それに触れずに終わってしまっていいのか?。」
僅かな時間ではあったが、あの講師から授かったであろう、真理に目を向けようとする分析眼。その果てにあるだろう景色を、尋はどうしても見たいと思った。体裁など気にしなかった。そして、友人に遅れること数年、尋もようやく大学に合格し、自身の目指すものに向かって踏み出した。そして、尋と友人は時折会っては、互いの近況などを話すこともあったが、やがて二人の距離は次第に開いていった。
「お前らはいずれ、別れ別れになるよ。」
二人が私塾に通っていた頃に、講師がいった一言が現実のものとなっていった。別に、仲違いをしたとか、そういうことでは無かった。お互いに見つめる対象が異なるようになった、ただ、そういうことだろう。文系の友人は社会の構造を、理系の尋は生物の現象を追求する立場に分かれていった。
「アイツ、まだ、講師先生と行動を共にしてるのかな・・。」
尋は友人よりも、彼と一緒の時を過ごしている講師のことが気になっていた。尋にとっては、衝撃であり、憧れの存在だった。もう自分は会うことは無いが、友人は未だに熱い語りを聞くことが出来ているのだろうかと。
それから数年が経ち、友人とはほぼ疎遠になった尋だったが、友人は例の講師とは袂を分かったという噂を聞いた。講師先生にとっては、自分達の存在は稚拙に見えていたのだろうが、やがては成長もする。尋は先に講師先生の元を離れたことで、時間が止まったままだった。幸いにも、それは美化されたまま記憶に留めることが出来た。しかし、友人にはとっては、重くのし掛かる師の存在との時間となって、耐えきれなかったのだろうか。もうそのことについて触れることも無いだろうと、尋はそう思っていた。そして、さらに時は流れ、互いの年齢が半世紀を過ぎようとした頃だった。ふと当時のことを懐かしく思い出しつつ、尋は講師先生の名を検索してみた。すると、
「あの講師先生、亡くなったらしいよ。」
と、あるネットの書き込みを、尋は偶然にも目にした。まだ寿命を迎えるには十分な齢(よわい)では無いはず。文末には病死と書かれていた。何時までも自身の前に立ち、輝いた姿でいて欲しい。そんな願いは虚しいものなのか?。尋は咄嗟に、友人の名前を検索してみた。少し変わった苗字なので、検索がヒットするのに然程の時間は要しなかった。彼はとある教育機関で、大層立派な立場に就いているようだった。
「もしもし、すみません。ボクは尋という者ですが・・、」
と、尋はその機関に電話をし、自身の連絡先を伝えて欲しいと、電話口に出た女性に伝言を残した。そして数分後、尋の元に折り返しの電話があった。
「もしもし、オレ。何?。」
久しぶりであったにもかかわらず、友人は相変わらず、ぶっきらぼうな応対だった。尋は講師先生が亡くなった件を、友人にたずねてみた。
「ああ。知ってる。数年前の話だよ。」
「若かったよな?。病死だったのか?。」
「いや、酒だよ・・。」
友人は、彼の晩年について尋に話した。何かと思うようにいかなかったことが重なり、そのような最後に至ったと、やはり淡々と語った。
「じゃ、オレ、会議があるから。」
そういうと、友人は電話を切った。尋の中で、何か一つの出来事が終止符を迎えたような気がした。象牙の塔で華々しくキャリアを積んでいるであろう彼の様子に、尋は最早興味は無かった。そして、研究者の道から逸脱した尋は、小さな水槽に囲まれた店内で気の向くまま生き物の世話をしつつ、町の片隅にある小さな教室で、今日も生徒相手に馬鹿話を交えながら、勉強を教えている。憧れの講師先生の背中を見つめつつ。
「先生、オレ、まだまだかな?。」
そう呟きながら、尋は思い出のエピソードでも綴ってみようかと考えていた。
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