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えっ、あんな深刻なやり取りを生徒会長とか風紀委員長とか星宮先輩にしたのに、俺の責任で話流さないとならないじゃん。えっ、えっ。
恥ずかしいのやら情け無いのやらで俺はうずくまった。つーか、一路気づけや! 今リコールできないだろう!
「まぁ、俺からもいうからお前からも言っとけ。お前に今、東区寮の仕事投げ出されるのは無理だわ」
「あー情けなさすぎ! 他の寮長が人材育成ちゃんとしてるのに…マジ、居た堪れないだけどっ!」
「ほら、お前。総寮長と副総寮長の仕事で忙しかっただろ? 仕方がないさ」
「動画配信者してる渚の方が忙しいに決まってんだろ!」
そう渚は動画配信者だ。しかもびっくりする額を稼いでいる。西区寮はそんな人たちの集まりだ。フリーランスや動画配信者、あの寮は外で仕事をしている人が入る寮。だから、寮の部屋じゃなくて、一軒家でプライベート管理がめちゃ厳しい。そんな特殊事情があるため西区寮は寮長を簡単に変えられないのだ。
「にしても、俺は加藤がなるって思ってたから何も言わなかったが、違うんだな」
「俺、春くんに寮の仕事手伝わせた事ないんですけど」
俺が春くんをこき使っていると思われてるが、違うから。ちゃんと健全な友達やってますぅ。
「確かに、加藤にはお前がいないしか聞かれたことないな」
「迷子センターみたいですね」
「お前限定のな」
ちなみに春くんには朝イチに謝った。あと迎えにきてくれるらしい。
「おまえ学校行く前に部屋帰るの?」
「ううん。春くんが迎えに来てくれるから、ここから一緒にいく」
必要なものは持ってきてくれるみたいだから、春くんは優しい。春くんがなぜそこまでするのかを思い、俺は自嘲する。
「加藤のお前へのそれすごいよな。過保護過ぎねぇか?」
「春くん、俺のこと信頼してないからねぇ」
自業自得なんだけど3年もたったんだ。春くん許してくれないかなぁとぼんやり思う。
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