第2の王道主人公

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「たくっ、これで何件目だよ。Gぐらい自分で対処してくれ。または隣人っ、友達でも可!」 「おいおい、Gヒーローさんよぉ。そんなこと言うなよ。名前が泣くぜ」 「いらねぇよ。そんな名前。ふつーうにやだわ」  校舎裏の森のベンチでねっ転がりながら、今朝のことを愚痴る。マジ何の変哲もない、G処理だ。そのために朝から生徒に泣きつかれたのだ。  気持ちは一ミリぐらいはわかるが、ぶっちゃけ廊下にいたGと叫んでも何も反応しない生徒に頼んでくれって感じだ。  お陰で毎月数十件のGの事件を解決するはめになり、今ではGヒーローなんて碌でもない名前がつけられた。 「いいじゃねえか。Gヒーロー、かっけーよ」 「はいはい、春くんにはかっこよく聞こえるのね」  俺は手を振ってこの話はやめやめとした。春くんこと俺の幼馴染加藤春斗(かとうはると)にとってはたとえ頭にGがついていてもヒーローならかっこいいらしい。 「王道テンニュウセイみたいに勇者ようでいいじゃねえか。いや、それに比べればカッコわりぃな」  春斗は豪快に地面にねっ転がりながら言った。けっして俺がベンチを独占してるからじゃない。 「王道転入生かぁ。なついな」  俺たちが1年の時に転入生してきたやつだ。転入してきたのが、5月っていう時期ハズレってところからいろいろぶっ飛んでいた。マリモみたい真っ黒な頭で、ジョークグッズだろうっていうレンズの厚い丸メガネをかけていたのだ。  そのときはさして仲良くなかった風変わりの先輩が王道転入生だ叫んでいた。何しろその時、学園に王道が溢れていたらしい。  やばい奴かなのが第一印象。何しろいろんなやつにちょっかいやイラズラを仕掛けるのだ。怖いもの知らずかとハラハラしたが、特に問題は起きなかった。  底抜けの陽キャなだけで、みんなの友って感じで超安全な人間だったのだ。いろんな人と仲良くなるから多少親衛隊がギスりはしたが、夏の合宿中に大事件がおきそのせいで寮の組織体制が崩壊寸前、王道転入生どころじゃなくなった。  それから時間がたった今、王道転入生はマリモのまま一般生徒として落ち着いている。最近の話題は派手なものはなく、ある生徒とテストで熾烈な一位争いをしたぐらいのものだった。
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