憂目のクラウチ

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憂目のクラウチ

冬が去り 春が訪れ 夏が来て 秋になる 何度も雨が降り そのたびに新しい水が湧く 地球の水の循環システム 季節は移ろう さも当たり前のように でも あなたとはぐれて 私の時は止まってしまった 会いたくて 声が聴きたくて 抱きしめてほしくて そのたび そのたび 目から何度も雨が降り そのたびに新しい涙が湧いてくる 私の体内における 水の循環システムは あの日に壊れ 涸れない涙の洪水を続けている 季節の変化に取り残された私 あなたの名前を呼んでも 静寂は答えない この涙が あなたとの記憶も 流してくれたらいいのに あまりにもあなたが刻まれていて 滴る雨 大きな川 湖のような水たまり だけど あなたが全然消えないの 私はここでうずくまる ただ孤独にうずくまる 涙が強い酸となり すべてを溶かしてしまうまで
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