1新六年生の冬

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 はあ、隣が平田で良かった。 竹下 みちとか絶対嫌。なんとなくだけど。 席についていると、宮原が、 「田中、今年も続投らしい。」 と声をかけてきた。 田中、もとい田中先生は、背の高い男。 あんまりすきじゃない国語科。まあ国語科だから怒られるとしたら漢字くらい。 「へえ。」 「興味うっす」 「だって田中だもん。」 「笑えないわ、共感しすぎて。」 「だよね。田中先生だし」 「なんで先生つけた??」 「俺がどうしたって???」 ほら見ろ田中が来たじゃん。 田中の立てる革靴の音が聞こえていたことに気づくわたしすごい。 「いや、田中先生に今年も教えてもらえるなんて嬉しいな。ってはなしですよ。」 「平華さん?嘘付いてない??」 「先生聞こえていたでしょ。」 「なんのことかなあ」 「先生態度でかい。背もでかい。」 「背がでかいのは仕方ないでしょ。それにさ」 「あっ加藤先生じゃん!!!!」 面倒くさい田中先生の話をさえぎる。 隣のクラスから歩いてくるのが見える、加藤先生。 加藤先生は、理科科の責任者。 四角い黒縁眼鏡のよく似合う30から40くらいの男。 5年の時は質問教室という質問をしに行く時間が授業後にあったのだが、そこで担当じゃないのによく質問に答えてくれた。 上位コース担当だから、講習の時とかにしか、Aコースに来ていない。 つまり加藤先生自身もAコースの面子も加藤先生とはあまり喋らない。 「誰加藤??」 「失礼します。」 宮原の不躾な質問を聞こえないふりをして、教室に入ってくる。 後ろでコソコソ喋っていた女子が静かになる。 「加藤先生今年もいたんだ。」 「残念ですが、今年も加藤がいるんですよー」 「別に田中先生よりは、全然いいですよ。」 「俺そんな扱い!?」 「ふふ。」 そう言うと加藤先生はいってしまう。 田中も若干しょげつつ退出。 時間割を見る。 算数A。 去年は、田中と仲の良い男がやっていたが、私の第六感がそいつはいないと告げている。
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