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繋がってない
「ねぇ、なんで付き合えないの?」
放課後の教室、帰る準備をしていたあたしの前の席、椅子にまたがりこちらを向いて不服そうなのは、昨日告白されて断った同じクラスの宮本くん。
椿くんとは正反対、ブリーチメッシュの髪の毛、耳にはピアス、ワイシャツのボタンの開いた首元にはネックレス。ネクタイは存在すらしていない。見た目だけで判断してしまっては申し訳ないけれど、ハッキリ言ってチャラすぎる。隣にいるだけであたしまで悪印象に成りかねない。
女の子たちはこんな宮本くんのことをカッコいいと言うけれど、あたしからしたら椿くんの方が何倍もカッコいい。
「好きなやつとかいるの?」
宮本くんの言葉に、一瞬、隣にいる椿くんの方へと視線が向かいそうになったのをとっさに戻して、あたしは宮本くんのきらりと光るピアスを見つめた。
「……います。だから、ごめんなさい」
「え、誰?」
小さく会釈をして、この話は終わりだと思ったのに、食い下がってくる宮本くんに少々イラッとしてしまう。
「好きなやつって誰? 俺よりかっこいい? 優しい? 絶対にそいつよりも俺の方が凪沙のこと好きだよ」
照れもせずに真面目なのかふざけているのか。よく分からないけれど、ストレートに想いをぶつけてくるから、あたしの方が顔に熱が上がってしまう。
「俺と凪沙は運命の糸で繋がってんだよ」
「……え」
目の前に小指を立てたかと思えば、やっぱり真面目なのかふざけているのか分からない表情をしてから、ふにゃりと笑った。
いや、宮本くんみたいなチャラい人が運命とか言っちゃうのがなんか違和感なんだけど。
明らかに引き攣った笑いをしている自分に気が付きつつ、言葉が出ないでいた。
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