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「凪沙お疲れーっ、また宮本に捕まってたでしょ?」
ニシシと面白そうに笑う真衣は、あたしと宮本くんとのやりとりの一部始終を目撃していたらしい。
「もう、見てたなら助けてよ」
「いや、だって面白いじゃん」
「それでも親友か」
「あ、それよりさ! 聞いた?」
あっさりと話を変えて、真衣は小声で耳打ちしてきた。
「ミホと新庄くん別れたらしいよ。なんか、あんなに引っ付いてたのに、周りに気まずいからって今だに一緒に帰るフリしてるみたいだけど」
「驚きだよね」と笑う真衣に、あたしはさっきの椿くんの言葉を思い出す。
ー田中さんと新庄くんは元々繋がっていないから別れるよー
「じゃあ、あたし部活戻るね、またねー、凪沙」
「あ、うん」
真衣に手を振ると、あたしは教室の方を振り返った。
椿くんって、何者? 運命の糸が見えるとか、すごくない? 気になる。本当に見えているなら、あたしの運命の糸も見えているはず、だよね?
ー宮本くんと河本さんは、運命の相手ではないよー
断言していたのは、単にあたしをしつこい宮本くんから助けるためじゃなくて、運命の糸が見えていたから?
教室まで戻ると、机に向かってペンを動かす椿くんの手元を遠目に見た。
繋がっていて欲しいな。あの小指と。
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