0 妖怪の話し相手がほしい

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 決定的だったのは1年生の時は違うクラスにいた高遠椎奈(たかとおしいな)が私のことを見て、しっぽが生えてる。あなた妖怪なの、と言ったことだった。  椎奈には私のしっぽが見えている。  私のしっぽは本当に生えているんだとわかったことは驚きだったけれど、学校の中では椎奈が私のことを妖怪と言ったことだけが広まってしまった。  けれども、それから椎奈は私のしっぽのことは誰にも言っていないようだ。  たぶん私のしっぽが他の人には見えていないことが分かったからだろう。  周りの人が見えないものを見えると他の人に言ってはいけない。  なぜなら頭のおかしい子に思われてしまうから。  それを私が理解したのは私がひとりぼっちになってからだったし、椎奈は既にそのことを知っていたという違いだったんだろう。  私のことは誰も相手にしてくれないどころか幽霊が見える妖怪の子といじめられるようになった。  対して椎奈は親が応募したテレビ番組のオーデションでヒロインに選ばれた。  もともと可愛くて勉強もできて、家はお金持ちのお嬢様。それに加えてテレビに出るようになったものだからクラスでの人気は上がり続けた。  私は今日も1人で下校する。  小学校に入って5年間ずっと同じ。  だから私は椎奈が出る番組の中で妖怪の黒明姫(くろあけひめ)を応援している。  いつか椎奈をやっつけてくれることを願って。
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