プロローグ 妖怪に勝ってほしい

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「エクレール、謎時空の中での攻撃は無効化される。なぞなぞ対決でしか勝負できないよ」 「銀子ってば、いつものことなんだから、わかってるよ」 「おまけになぞなぞ勝負に負けたら、エクレールの正義の情熱が奪われちゃうよ!」 「それもわかってる!」  エクレールに注意したのはパートナーの銀子、大きなしっぽが特徴の銀色の狐のマスコットだ。 「それじゃあ、なぞなぞよ。骨はふつう白いものなのに、ものすごく真っ黒な骨ってなーんだ」  黒明姫(くろあけひめ)がなぞなぞを出すとテール大どくろの骨がなぞなぞを反映して真っ黒に染まる。 (えっ、うそでしょ。そのままじゃない)  より不気味になるテール大どくろとは反対に私は黒明姫の出したなぞなぞがあまりに簡単すぎるので固まってしまった。 「ふふっ、難しそうな問題だけど、私にはお見通しよ!」 「な、なんですって」 「ものすごい黒、つまりド・黒ってことで、どくろ。正解の骨はどくろね!」  エクレールが言い放つと同時にテール大どくろの胸の肋骨(ろっこつ)がばかっと開いて中の生徒たちが解放される。 「ぐぐっ、お、おのれえ、エクレールめ」 「今度は私から問題よ、黒明姫。骨は骨でも食らうといたーい骨ってなーんだ?」 「な、なんですって」 「答えはゲンコツよ。食らいなさい。悪を滅するきらめきの花、サンダーフラワーパーンチ!」  稲光(いなびかり)の放たれるエクレールのこぶしがテール大どくろの頭に直撃すると、どくろはバラバラに吹っ飛んで崩れ落ちる。 「覚えておきなさい。次こそはおまえを倒すテール妖怪となぞなぞを生み出してやるから!」  絶叫しながら妖狐の姫は夜の闇の中に逃げて行った。  後には体育館の床の上にテール大どくろの元となった走る骨格標本だけがバラバラに散乱していた。
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