二人だけの空間で――

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 ――それから、四時間ほど経て。  もうじき日付が変わらんとする夜半の頃。  自室にて窓の外に皓々と輝く月を眺めながら、ぼんやりともの思いに耽ける私。  ……今まで、いろんなことがあったなあ。お父さんやお母さん、お姉ちゃんを奪われ独りになった時は、もはや生きる希望なんて見出だせなくて。  だけど、そんな私を神様は見捨てずにいてくれたみたい。ヨハンと出会って、私は大好きな家族に囲まれていた頃と同じ――いや、きっとそれ以上の幸せに満たされてきた。些か罪悪感を感じないでもないけど……それでも、これが偽らざる本音だ。だから、私は――  ――ゴンゴンゴン!!  卒然、扉が荒々しく叩かれる。そして―― 「開けなさい!! 今すぐここを開けなさい!!」 「止めるんだアンナ!! 突然どうしたんだ!! 絶対に開けちゃ駄目だよ、ヘレナ!!」  続いて、扉の音に負けないくらい荒々しげに声を上げるアンナさん。そして、そんな彼女を扉の向こうで必死で止めているであろうヨハンの声。そんな二人の声を聞き届けた私は―― 「――こんばんは、ヨハン。アンナさん」  ――躊躇なく、扉を開いた。
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