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「――っ!? ヘレナ、どうして……」
事もなげに挨拶を述べる私に対し、驚愕に言葉を詰まらせるヨハン。……まあ、そうなるよね。だけど、ヨハンには本当に申し訳ないけど、これはどうしても必要な――
――グサッ。
「――ヘレナ!! …………え?」
再び、ヨハンの目が大きく開かれる。アンナさんが私に突き出したナイフ――栄養補給のためと、さっき私がアンナさんに持っていったフルーツの皿に添えておいたペティナイフが、どうしてかアンナさん自身の心臓を貫いていたから。彼女は声を洩らす暇さえなく、自身の血で赤く染まったカーペットへバタリと倒れ込み――そのまま、微動だにしなくなった。
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