二人だけの空間で――

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『……アンナさんが、家族の(かたき)……?』  前日、例の薬屋でのこと。  一つ教えておこうかね――そんな前置きの後切り出された、おばあさんからの衝撃の話。私達家族を魔女として告発した聖職者――なんと、その娘がアンナさんだという。どうして、このおばあさんがそんなことを知っているのか――そこに関しては全くもって謎でしかないけれど……まあ、それを言ったらこのお店とおばあさん自身が相当な謎なわけだし、それに――  ――それに、思い当たる節もあったから。  狂ったように、度々私を罵倒し手を上げていたアンナさん。もちろん、ヨハンとの時間を邪魔された恨みという可能性は捨てきれないし、実際そういう理由もあるのだろう。  だけど――あれらの言動の根底に、恐怖があったとしたら? いつか私から復讐を受ける――そんな、途方もない恐怖があったとしたら? あんなふうに攻撃することでしか、恐怖(それ)に対処する術がなかったとしたら?     ――もちろん、憶測でしかない。それでも……そう考える方がしっくりくるのも事実で。……ともあれ、そういうことなら―― 『――大変貴重な情報をありがとうございます、おばあさん。それでは、薬を一つ頂けますか? ――恐怖の感情を、極限まで増大させる薬を』  
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