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――さて、後は決行あるのみ。アンナさんがいつも嗜む夕食後のコーヒーに、そっと例の薬を忍ばせておく。効力はおよそ四時間後に現れるとのことだけど……まさか、あんなふうに目眩を引き起こすとは思わなかった。まあ、必ずしも薬の作用とは限らないけれど……ともあれ、倒れなくて良かった。危うく、計画が台無しになるところだった。
その後は、じっくり時を待つのみ。元より、あれほど暴力を振るわなければならないほどに、私に甚く恐怖を覚えていたアンナさんだ。恐怖を極限まで高めてしまえば、その後の彼女の行動など容易に想定出来る。
そして幸か不幸か、私には常人ならざる能力が備わっている。それも、歳を重ねることに能力はますます強大化していく――それこそ、凶器を手に向かってくる相手を容易く返り討ちにしてしまえる程度には。
――うん、この方法であればヨハンから咎められることも恨まれることもまずない。むしろ、配偶者としての責任を感じて、今までよりもいっそう大切にしてくれることだろう。もはや邪魔者のいない、二人だけの空間で――
――バタッ。
「…………え?」
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