怪しげな薬屋

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「…………」  不気味な笑みで告げるおばあさんの説明に、口を真一文字に結ぶ私。おばあさんの言葉が意外だったからじゃない。入店してから徐々に芽生えてきた直観と、ほぼ違わぬ説明(もの)だったから。このおばあさんが魔女であること――そして、同じ魔女である私のような人間を引き付ける類の店であろうという直観と。 「……それで、おばあさん。いったい、どんな薬を売ってるんですか?」  そう、改めて問い掛けてみる。まあ、どうせろくなものじゃないんだろうけど……それでも、やはり少しくらいは興味が湧いてしまう。すると、待ってましたと言わんばかりに愉しそうな笑みを浮かべるおばあさん。そして、ゆっくりと口を開いた。 「――ああ、良い質問だねお嬢ちゃん。ここで売っているのは、人間のありとあらゆる感情を思いのままに増大させる薬だよ」  
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