殺風景に刃を

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 穏やかな季節とは裏腹に、教室は冷え切っていた。いや、私の周りだけが冷え切っているのかもしれない。遠くから聞こえるクラスメイトの笑い声。遠くから見えるクラスメイトの楽しそうな姿。あいつらからは色鮮やかな景色が見えているんだろうな。私と違うあいつらからは、こんな代わり映えのしない景色も殺風景だなんて思わないんだろうな。  私は窓に視線を移すと、優しく校舎を照らしている太陽を見た。この太陽も、代わり映えのしない地球の姿を見ても殺風景だなんて思わないんだろうな。ムカつく。  私にはどんな場所にいようが、殺風景にしか見えないのに、のうのうと生きている奴らがムカつく。  教室から出たくなって、静かに立ち上がった。音もなく、周りに気づかれないように。それでも一瞬、騒がしかった教室が静まった。皆、一斉に私のことを見る。一瞬の躊躇い。恐怖。言葉にしなくても、雰囲気で分かる。感情の空気感染かもしれない。  私は誰とも目を合わせようとせずに、机から移動した。廊下までの道のりを、皆が移動して開けてくれる。花道みたいなのが勝手にできあがる。実際は花道のような意味合いとは真逆だけど。  私と近寄りたくないから離れる。自然と道ができあがる。ただそれだけだ。  私は呪われているから。だから。  廊下に出る直前に足を止めた。背中から緊張が感じられる。早く出て行けよ、と誰もが思っていることが感じられる。ムカつくから期待を裏切るように、教室を見渡した。誰も私と目を合わせようとせず、ぎこちない素振りで顔を反らした。誰も喋ろうとしない。さっきはあんなに騒がしかったのに、私が動いた瞬間にこのざまだ。
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