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高校生になり他の中学から来た子もいたが、同じ中学出身の子もたくさんいて、耕太も同じ高校だった。 そして、同じクラスになった。 中学の時とは違い、一学年の人数も増えた。 今までは会った事がない、色んな子がいた。 女子はお化粧をしている子もいて、髪色を明るくしている子もいた。お化粧は特に、目元をパッチリ作り上げるのが流行りで、お化粧グループはみんな同じ目元だった。 男子は少し悪そうなグループもあったり、 今まで知っていたのに急に背が伸びて知らない雰囲気になっている子もいた。 耕太は中学の時と同じくサッカー部に入り、私は生徒会に入った。 入学して2週間が経った。 ホームルーム終わりに、 「岩渕さんって、川上君と同じ中学だったの?」 同じクラスの生田彩香が話しかけてきた。 「えー、そうなの?仲良し??」 追加質問をしてきたのは、友部麻友だ。 「うん。でもそこまで仲良しって感じではないよ。中三で同じクラスだっただけ。」 「えー、いいないいなー。やっぱりモテたの?サッカー部だった?」 「私も知りたい。生田さんも気になる!?」 生田彩香と友部麻友はまるで昔からの友達だったように意気投合している。 「私、生田彩香。彩香でいいよー。」 「私は友部麻友。中学の時は友部って呼ばれてたけど、 できれば麻友って呼んで欲しいな。」 「私は岩渕さゆり。いわぶーって呼ばれてたよ。」 「さゆり、、、さゆちゃん、、、さゆちゃんって呼ぶねー!」 彩香が命名してくれた新しいあだ名は”さゆちゃん”だ。 「さゆちん、川上君とは仲良くないの?」 間違えた、彩香が命名してくれた新しいあだ名は、”さゆちん”だ。 「仲良くないってことは無いけど、特別仲良かったわけじゃないんだよね。 友達の彼氏と同じサッカー部で、中三で初めて同じクラスになったの。」 「へ~!!」 「連絡先とか知らないの?」と、彩香が聞いてくるので、 「知らないよ!中学の時の連絡網なら持ってるけど。」 「連絡網って、親が電話に出ちゃうよ~!!」と、彩香と麻友が笑った。 それにつられて私も笑い、三人で連絡網について、涙が出る程笑った。 ゴールデンウイークに入る少し前に、オリエンテーリングという名の遠足があった。近くに動物園と自然公園が合わさった大きな動物公園がある。 そこで、園内散策と、班ごとに昼食を自炊する、というものだ。 「えー、じゃー、班決めをするのですが、、、」 担任がそんな感じで切り出したのだが、高校生にそんな言い方通じない。 「うぇほん。」咳払いを大きくした担任が仕切り直し、 「オリエンテーリングは学校行事の一つです。みんなで、、、」 と言ったところで誰も聞かない。 私も早く帰りたかった。 それよりも、この後に待っている班決めの面倒さは誰もが分かっていた。 適当に男女でグループを組み班を作る。 すでに男女それぞれで小さくグループは出来上がっている。不思議なもので、派手なグループ、地味なグループ、真面目なグループと色がある。 きっとクラスの誰もが地味なグループと同じになりたくなかった。 それは男子も女子も同じだ。 これもまた不思議なのだが、この時ばかりは皆、自分が地味なグループだと思っていない。 すごい自信だ。 私は彩香と麻友と三人のグループだったが、派手でもなければ地味でもない、中途半端なグループだった。 しばらく、いやな空気が教室中に広がっていた。 こういう時、どうしたらいいんだろう。 誰とも目を合わないように、自分が何も考えてないのがバレないように、下を向いていた。 「おい、俺も早く部活に行きたいから協力してくれよ。」 そう声を上げたのが、耕太だ。 はっと、耕太を見ると、いつものような笑顔ではなかった。 それでもやっぱり、光を放っていた。 皆が耕太を見ていたので、きっと誰もが耕太の光に気が付いただろう。 「仕方ねーなー。」「川上くんが言うなら、、、」 クラス中で声が上がり、一瞬でまとまった。 今までの時間が無かったように、霧が晴れた気分になった。 耕太は、普通にしているだけでモテる。 こんな風にカッコいいところを見せてしまったら、もっと皆が好きになる。 でも、大丈夫。 「みんなが好きになっても、私が耕太を好きということは変わらない」 妙な自信が湧いてきた。 私は「好き」と思うことが好きだから、それで良かったのだ。 耕太の一声でクラスがまとまり、その後は滞り無く事が進んだ。 班分けまで終わり、ホームルームが終わったらのは、日が落ちる少し前だった。 「あーあ、川上君とは別の班になちゃったね。」 帰り道、彩香が残念そうに呟く。 「別にいいじゃん。色んな人と話するチャンスだよ。」 「でも、川上の班、割りと可愛い子が多いよ。さゆちん、大丈夫かな?」 「麻友!ふざけないでよー!」 いつも通りの雰囲気だ。 私たちは、可もなく不可もなくな男子チームと班を作ることになった。 耕太は派手めなグループと同じ班だった。
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