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三 黒い話
「あなた。麗華は」
「……葉室様が連れて行った。先ほど戻った馬車係りはそう申しておった」
「なぜそこまでして麗華を」
麗華が去った久世家では、貴仁と広子は茫然としていた。貴仁は気を静めようと洋酒をグラスに自ら注いだ。
「もしや。葉室様はあの子の財産を知っているのかしら」
「葉室様は資産家だ。麗華の財産を狙うような事は無いだろう」
「ではなぜ、あの子が」
貴仁は広子に酒を進めた。
「落ち着きなさい。まだ麗華は自分でも財産を使えない状態なのだから」
「わかっていますけれど、ああ、どうしましょう」
麗華を冷遇していた久世家では株投資の失敗により多額の負債を抱えていた。万理華が高園家と結婚が決まりその結納金や融資の確約を得ていたが、麗華が持つ資産も貴仁は当然当てにしていた。
……麗華に嫁に行かれては、あの金が使えないではないか。
久世家の後継者である貴仁は、老齢だった親を葉山に追い出し財産を自由に使っていた。しかし亡くなった両親は彼の知らない財産を麗華に残していた。この悔しさに彼は酒を煽った。
……この屋敷以外で、あの娘が暮らしていけるはずがない。
麗華には学問を与えず職業も与えず、外部から遮断していた両親は麗華が自信を無くす努力をしていた。お前はダメな人間だと見下し、蔑み、蔑視、そして苛め抜いた。
しかし。麗華は葉室が嫁にしたいといい、連れて行ってしまった。
「あなた。どうして葉室様にサインをしてしまったのですか?あれで婚約が同意になってしまったのですよ」
「……ひとまず融資をして下さる話だから仕方ないのだ。それにあれはまだ婚約の同意だけだ」
「でも」
「それにだ、麗華は花嫁修業も何もしていないんだ。向こうだってすぐに麗華の無能さにあきれるさ」
「そうだといいのですけれど」
久世家に来た丞太郎に思わずサインをした貴仁であったが、あの時はそうでもしないとならない状況であった。今はそれよりも次を考えていた。
「では、まだ麗華のお金は久世家のものですね」
「今のところはな……」
「お話し中、すみません。お父様、お母様」
「お。万理華か」
部屋に入って来た万理華は手に書類を持っていた。そんな娘を両親は座らせた。
「これは高園様から頂いた手紙なの。ご覧になって」
「どれ……ああ、花嫁修業のようなものだね」
「私にも見せてください。ああ。そうね」
高園家に嫁に行く事になった万理華は彼からいくつかの条件をもらっていた。それは子爵の妻としてのたしなみの勉強だった。
「生け花や茶道か。なるほど、高園家は文学や研究一家だったな。お前にも期待しているのだろうな」
「でもお父様。万理華はこういうのは苦手よ」
「あなた。万理華にできるのはレース編みや書道くらいですもの。高園様にご容赦してくださるようにお話してください」
「よしよし。何とかしよう」
わがまま放題の万理華は、何をしても中途半端であり不器用な娘であった。外見は綺麗な顔立ちであったので両親は高級品を見に付けさせ、万理華を何とか令嬢として持たせていたが、勉強は不得手であった。
こうした万理華は後日。高園屋敷にお茶に呼ばれていた。
「ようこそ。万理華さん」
「真木也さん」
黒髪をなびかせた彼は静に微笑んだ。長身の佇まいに白いシャツの彼はようこそと万理華にお辞儀をした。
「今日のドレスもお美しいですね。あなたに良く似合う」
「ありがとうございます」
端麗な彼に頬染める万理華であったが、彼は申し訳ないと眉をひそめた。
「実は仕事が入ってしまって。でも母がいるのでお茶でも飲んでゆっくりしてください」
「は、はい。あの真木也さん」
「何ですか」
万理華は上目遣いで話した。
「実はその。父がこの手紙を」
「お父上が?拝見しましょう」
そこには万理華の花嫁修業は結婚前にこなすのは困難と記してあった。
「……これによると。君は久世家でも結婚前に習得しないとならない事があるのですね」
長い指で読む彼の仕草に万理華はドキドキしていた。
「はい。私、すみません。同時にはちょっと」
「そう」
父に嘘を書いてもらった万理華は、何とか誤魔化そうと必死になった。
「申し訳ありません。努力致しますが」
「いいですよ」
真木也はにっこり微笑んだ。
「僕はそれで構いません。あ。すみません。もう時間なので出かけます」
「そうですか」
彼ともっと話をしたかった万理華は残念そうな顔をしたが、彼は上着を取った。
「では万理華さん。今の内容を直接母に話してくださいますか?僕はこれで」
「え、私が自分で」
「そうです。よろしく」
青ざめる万理華に笑顔で退席した真木也は迎えの車に乗り、現場に到着した。
「副司令官、遅くなりました」
「やっと来たか。それよりも真木也。これを見ろ」
「急いで逃げたようだな」
葉室丞太郎の同僚の高園は、彼らと一緒に廃墟の屋敷を土足で上がり、荒れた室内を確認した。
「どう思う真木也?このアジトは見捨てたのか」
「……いや。まだわからん。おい。その床板を外してみろ。少し浮いているぞ」
真木也の言葉に部下たちは床板を外した。そこから木箱が発見された。
「丞太郎。これは麻薬だな」
「回収だな。おい。山本、これを運び出せ」
指示した丞太郎に屈んだままの真木也は考えていた。
「丞太郎。その木箱は残しておいた方がいいんじゃないか」
「そうか。確かにな」
真木也の指摘に丞太郎は少し考えた。
「よし。では中身は取り出し、箱は戻しておけ。中身を回収したのが我々ではなく、仲間の仕業と思わせよう」
「俺もそう思う。それよりも、副司令官、向こうに気になるものが」
副司令官の丞太郎は参謀長の高園と現場を指揮した。そんな二人は現場を後にし、仕事場である秘密警察の司令部へと戻って来た。
「真木也。今回のアジトの屋敷は誰の所有になっているんだ」
「本人は亡くなって、甥が相続しているようだ。今はそいつを調べている」
「そこから足が着くといいがな。さて、休憩するか」
丞太郎と真木也の二人は副司令室でやっと一息ついた。
「ところで、そっちはどうだ」
椅子にふんぞり返り爪を見つめる真木也に丞太郎は帽子を外した。
「どうだ、とは?」
「俺が貰うはずだった麗華嬢だよ。逢ったんだろう?」
「ごほごほ!」
せき込む丞太郎を真木也は笑った。
「ふふ、お前って、ハハハ」
「……あのな。俺はこの件に関してどれほど」
「わかっているさ!それにしても。女嫌いのお前が。ふふふ」
真木也は首をこきこきと鳴らした。
「うちの万理華嬢は、今頃我が家にて母上に絞られているな」
「お前の家は厳しいからな、大変だろう」
「まあ、母上が彼女を気に入ったんだからそれでいいけどな」
麗華に結婚を申し込んだ高園は、見合いの時の相手を麗華だと思って会話をしていた。その後、相手は麗華ではなく万理華だと判明した時には高園の母親が万理華を気に入っていた。
結婚は家同士の結びつきと考えている高園は、万理華との婚約を進めていた。
この話の中、部下の山本がお茶を置いて行った。丞太郎はため息で受け取った。
「うちの麗華嬢は、その。まあ、今はまだゆっくりしてもらっているよ」
恥ずかしそうな丞太郎に真木也はあくびをした。
「しかし、まさか。こんなことになるとはね」
「ああ……」
丞太郎は御茶の湯気を見つめ、あの出来事を思い出していた。
◇◇◇
十年前。若く仕事に燃える丞太郎は、爆弾男を阻止するため帝都病院の警護に当たっていた。
しかし、爆発事件が起きてしまった。
「どういうことだ?狙いの馬車はここにあったのに」
「申し上げます。被害に遭ったのは子爵家の久世家の馬車。被害者は少女のようです」
「なんというとうことだ」
完璧に警護をしていた丞太郎は、自分の失敗に目の前が真っ青になった。
彼は確かに警備をしていたが、まさか爆弾男が馬車を間違えるとは思っていなかった。
「その娘の容態は」
「命は取り留めましたが、ひどい火傷を負ったようです」
「……」
守護するべき人物は無傷であったが、代償として罪なき女子が怪我を負ってしまった。
優秀だった彼は過去に失敗をしたことがないのが自慢だった。そんな思い上がりの気持ちが罪もない少女に怪我を負わせてしまったと自分を責めるようになった。
一度だけ少女のお見舞いとしようと病院に行ったが、少女が火傷の包帯を交換し痛みで泣き叫ぶ声を聞き、胸が張り裂け足が震えてしまった。
そんな彼は見舞いの花を看護婦に通じで彼女に渡すことしかできなかった。
やがて丞太郎は仕事ができず、自宅に引きこもるようになった。
「おい、葉室。私だ」
「司令官」
葉室家に会いに来た上司に無精ひげの彼は悲しくうなだれた。
「司令官。自分はダメな人間です。もう、仕事には就けません」
「逃げても解決しないぞ」
「ですが」
「葉室。この写真は被害者の娘さんだ」
司令官は写真を彼に見せた。
「これが」
震える手で写真を持った彼に上司は続けた。
「ああ。久世麗華嬢は事故の後、祖父母の隠居先の葉山で静養している」
「静養。実家ではなく」
「ああ」
写真の麗華は草原で花を摘んでいるようすだった。
「静養というと聞こえがいいが。これは建前だ。実際は火傷の痕のせいで東京の女学校には通えず、父親にも毛嫌いされて葉山に追い出されたというのが真相だ」
……俺のせいだ、すべて。
酷い様子に丞太郎は唇をかんだ。そんな彼に上司は話した。
「しかしだ。麗華嬢は葉山で学び、植物を育て、必死に生きているぞ」
「え」
「両親に見放されて悲しいはずなのに、祖父母の元で健気に過ごしている。葉室。お前はそんな彼女を見て恥ずかしくないのか」
上司が次に出した写真は海辺でほほ笑む麗華の写真だった。
「……」
言葉がでない彼に上司は目を伏せた。
「ここに、麗華嬢の資料を置いておく。辞めるなら司令部に挨拶に来い」
そういって司令官は帰って行った。
……あの時の少女。俺のせいで火傷を負って不幸に。
震える手で読む資料には、麗華の暮らしが記してあった。葉山の麗華は怪我の治療に堪え、そして優しい祖父母に支えられ、朗らかに過ごしているとあった。
……それなのに。俺はこんなところで。
流れる涙は情けない自分への思いと、立派な少女の姿の感動によるものだった。彼は写真を胸に涙を拭った。そして、再び公務に復帰した。
「おい、丞太郎。聞いているのか」
「あ。ああ、すまない、ちょっと昔の事を思い出して」
「麗華嬢の事か」
「……そうなるな。お前には心配というか。面倒を掛けてしまったな」
「それはもういいんだ。俺も納得した話だったから」
真木也は長椅子にゴロンと寝ころび、天井を見つめた。
「麗華嬢があの時の被害者だって俺ももちろん理解したうえで求婚したのだが、まさか妹を嫁にもらう事になるとは」
「すまない、俺としてはお前を信用して頼んだのだがな」
丞太郎も長椅子に背持たれながらつぶやいた。
事件の被害者の麗華の事を丞太郎はずっと気に掛けていた。そして東京に戻ったと知った彼は麗華の事を探ったがわがままなお嬢様という悪評しか聞こえてこなかった。
真実を探りつつ丞太郎は麗華を見守っているつもりであったが、昨今、例の爆発犯がまた活動を再開させた動きがあった。犯人はまだ捕まっていない中、麗華を守りたい一心の丞太郎は信用置ける人物と麗華が結婚してもらえばそれが救いになると考えた。
この時、側近である独身の真木也が嫁に欲しいと言い出した。
真木也も事件の事は承知であり、爵位も久世家より下位であったため麗華に求婚したというのが理由だった。
「俺も驚きだった。彼女は結納のはずなのに久世の屋敷にいたし、しかも女中の恰好で」
「まあ、それでも母が万理華を気に入ったからな。俺の方はこれでいいさ」
「そう言ってくれて助かるよ……ん、どうした」
起き上がった真木也はじっと丞太郎を見つめた。
「いや。逃した魚は大きかったのかな、と」
「え」
自分で怪我をさせてしまった丞太郎は、真木也以外の優良な男性に求婚させようとした。しかし、なかなか良いと思える男子はいなかった。
麗華の不幸は自分のせいと、彼女に求婚する資格などないと心堅くしていた丞太郎であるが、最終的に彼女を守るために求婚した丞太郎を真木也はじっと見ていた。
「まあ、お前が一番の優良物件だものな」
「な、何を言い出すのだ」
「だってそうじゃないか。資産家であり爵位もあり、彼女の火傷の傷もすべて受け入れ、そして彼女を優しく守れるのは、世界でお前だけだろう」
「そ、そんなことはない。今後、麗華嬢に思いを寄せる男もいるはずだ。俺はそういう男が現れるまで、彼女を守れれば、それで」
「はいはい、まあ。そういう事にしておこうか」
真っ赤になって恥じらう丞太郎に真木也は笑った。
「さて、俺はちょっと事務所に行ってくる」
「ああ」
丞太郎は一人部屋に残った。机の引き出しをそっと開けた。
……葉山時代の麗華、なんと愛しい。
そこには少女時代の麗華の写真があった。丞太郎はいつものように見つめた。
……こんな清らかな彼女を。どうして俺が妻にできようか。
自分が怪我さえ負わさなければ麗華には麗華の道があるはずと丞太郎は胸を焦がした。日差しは傾いていた。もうすぐ夕刻だった。
「ただいま帰った」
「おかえりなさいませ」
「お、おう」
……不機嫌そうな顔ね。
出迎えた麗華は回復したばかりの手を守るために手袋をしていた。痛々しい様子に丞太郎はそっと視線を外し、彼女を交わした。
「今日は何をしていたのだ」
「屋敷の中を案内していただきました」
「左様か」
麗華が上着を受け取っている時、ここに平坂は顔を出した。
「旦那様、お帰りなさいませ。夕飯ができておりますが、その前に急ぎの電話がございまして」
「わかった」
……忙しそう。私は邪魔だわ。
平坂と話し合う様子に麗華はこの場を離れた。まだ体調が振るわず医師の指示で休んでいた麗華であるが夕食を共にしようと思っていた。
そんな彼が先に風呂に入るかもしれないと思うと時間は読めなかった。
急に葉室家に来たため、今も彼の亡き母のドレスを借りて着ていた麗華はふと鏡を見た。
……亡きお母様のドレスですものね。私が着たら嫌かもしれないわ。
明日はどうにかして他の服を手に入れようと麗華は鏡から目を話した。
「麗華様。ここにいらしたのですね」
「どうしたの。テイ」」
「旦那様がお風呂に入りましたので、お夕食はもう少しお待ちくださいね」
「はい」
柱時計が響く部屋で麗華は本を読んでいた。本棚にあった本は興味深く麗華は夢中になっていた。
「おい、麗華嬢」
「……」
「待たせてすまなかったな」
「あ、いいえ、すみません私」
丞太郎に肩を叩かれやっと気が付いた麗華が読んでいた本を、彼は目を細めた。
「なんだそれは」
「本棚に有った本です。面白そうなのでつい」
「どれ」
風呂上がりの丞太郎は手に取った。
「『日本の植物』か。そっちは法律の本か」
「はい。面白そうだったので」
これ以外にも彼女の側には本が並んでいた。
「『論語』まであるのか。君はそれを全部読むつもりか」
「……ここにあるのは読みました。知っている本もありましたし」
……無理することはないのに。
久世の屋敷では働いていたことが分かって来た丞太郎は麗華には穏やかに暮らして欲しいと思っていた。
「無理することはない。好きな事をしていて良いのだぞ」
「あの。それよりも旦那様、お願いがあるのですが」
まっすぐな麗華に丞太郎は息を呑んだ。
「少し、身の回りの物を買ってもよろしいですか」
「別に構わないが」
今は丞太郎の亡き母のドレスを着ている麗華の言葉を彼は、否定的に受け止めた。
……そうだよな。古いものだし。
「欲しいものは買えばいい。いちいち私の許可を得る必要はない」
「すみません。細かい事で」
……そうか。忙しい方ですものね。
今までは久世の父に許可を得てから行動していた麗華は、風呂上がりの彼に申し訳ない気持ちになった。そして夕食を共にしたが、あまり食欲がなかった。
「もういいのか」
「ええ、お腹がいっぱいです」
……浮かない顔だな。
不機嫌そうな顔の丞太郎と彼に気遣う麗華の静かな夕食は終わった。そんな麗華は風呂を済ませ自室でくつろいでいた。
……忙しい方だから、私の事でご面倒かけてはいけないわ。
久世の父が婚約を許可した以上、麗華はここにいないといけないと思っていた。しかし、多忙な丞太郎と話もできずどこか寂しいと思っていた。
……でもまず。身の回りの物をそろえないと。いつまでも借りているのは申し訳ないわ。
「麗華嬢、入るぞ」
「どうぞ」
風呂上がりの麗華は浴衣を着てベッドに腰かけていた。丞太郎は染まる頬を隠すようにそっと紅茶を運んできた。
「飲めそうか」
「はい」
受け取った麗華を丞太郎は目を細めていた。
「あのな。麗華嬢」
「はい」
「葉室家に来たからと言って無理することはない。まずはもっと食事をしてゆっくりして欲しい」
「わかりました」
……心配かけてばかりだわ。それにいつも不機嫌そうだし。
「すみません。ご心配かけないように過ごしていきます」
悲しく話す麗華に丞太郎はどうしてよいのか唇をかんだ。
「謝ることはない、その私としては君にその、健やかにしてほしいだけだ」
「はい……」
麗華は紅茶を飲んだ。
「美味しいです。ありがとうございます」
月夜の部屋。二人が過ごす部屋の窓には夜風が当たっていた。小柄で抱きしめれば折れてしまいそうな彼女に彼はどうしてよいかわからずにいた。
「私、寝ます、旦那様もお休みください」
「ああ、分かった。君も布団に入りなさい」
丞太郎は麗華をそっとベッドに入れ布団を掛けた。
「旦那様。おやすみなさい」
「おやすみ」
そして照明を消し部屋を出た丞太郎は大きくため息をついた。
……可憐だ……だが、どうしてあんなに悲しそうなんだ。
ドアの向こうに眠る婚約者に思いを焦がす丞太郎は思わず天井を見上げた。
積年の片思いと彼女への罪悪感が彼を複雑に苦しめていた。夏の夜風が吹いていた葉室家の屋敷の廊下を丞太郎は彼女への思いを引きずりながら歩いていた。
三話 「黒い話」完
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