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翌日。
二日酔いによる頭痛を携え、二限目の物理学に間に合うように急ぎ足で教室へと向かっていたところ、ふと、物理学の教室の隣りにある小さめの空き教室が目に入った。
そこには、女の子が一人で椅子に座ったまま両腕を枕にして突っ伏し、寝ているようだった。
沢口美鈴だ。
顔は見えないが、俺にはすぐにわかった。
なぜなら、昨日見たスタイルや髪型や髪の色が目に焼き付いているからだ。決め手として、バッグが昨日と同じだった。
どうしようか。話しかけたりしてもよいものだろうか。
もしかしたら、一限目の授業だったこの教室でうっかり寝てしまったのかもしれない。
二限目の授業があるなら、教室移動をしなければならないはずだ。
よし、それを名目に起こしてみよう。
それなら自然だ。
意を決し、小さめの教室へと足を踏み入れた。
周囲を見渡してみるが、やはり沢口美鈴しかいない。
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