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そっと近づき、まずは沢口美鈴の左隣りの席に座ってみる。
すぅすぅと、心地よさそうな寝息を立てている。
もしかしたら別人かも、という心配もあったが、間近で確認できたことでその疑念は消えた。
両腕を枕にして突っ伏しながらも、わずかにこちらの方へ首を向けて寝ていてくれたため、顔を見ることができた。
あの沢口美鈴が、手を伸ばせば触れられるくらいの位置にいる。この事実が頭の中を駆け巡り、心臓が飛び出しそうなくらいに跳ねている。
大丈夫だ、落ち着け、俺。
こっちには、不審に思われないための武器があるんだ。
「次の授業に間に合わなくなると思って、起こそうとしたんだ」
もし突然目を覚ましたとしても、そう伝えれば何も問題はないだろう。
一応俺はサークルの先輩なんだ。
それくらいの気遣いをしたところで不自然ではない。……はずだ。
隣りに座ったまま、しばらく沢口美鈴の寝顔を眺める。
多少髪がかかっているものの、顔の大部分を見ることができていた。
それにしても、なんという完成度の高い顔だろう。
目・眉・鼻・口の配置がパーフェクトだ。
有料でいいから、このまましばらく眺めていたい。
まだ喋ったこともない相手だが、すでに俺は沢口美鈴のことが好きになっていた。
ふと、寝顔から少し視線を落としてみる。
そこには、沢口美鈴の胸があった。
純也曰く、Fカップはある、という大きな胸だ。
――触りたい。
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