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ときめき
雰囲気のいいお店でだらだら話して
一緒に終電を逃すか悩むような恋がしたい
酒がなくても話が面白くて盛り上がれて
一方が終電逃したからって逃すんじゃなくて
好きな映画の話をしたり
家族の話をして人となりをわかりたい
「ここいいね」
「雰囲気いいでしょ」
「さすが」
デートのために取っておいたこの場所
素敵な気持ちになれる男と行きたかった
こんな日が迎えられるなんて思わなかった
照明が少し薄暗くてインテリアが可愛い
色合いがウェスアンダーソンみたいだ
私たちはタルトフランぺと紅茶を頼んだ
彼が頼んだのはミルクティーにしたら
とっても美味な紅茶らしい、知らなかった
どこかで飲んで気に入ってその場で購入した
らしい、知らないけど
「タルトフランぺを出せる人になりたい」
「かっこいいね、出しもらったら」
「適当につくるねの感じでさ」
彼の分かったことといえば、
カッコつけたがりで知識を言わなきゃ
気が済まないってこと、そして細かい
好きだった女がいていまだにもやもやしている
あの時何もしなかったことを後悔しながら
まだ少しでも可能性があると思っている
私のことと言えば、
もう一人の昔好きだった女みたいに
曖昧な態度でもてあますことが多いこと、
好きな人とかには当たりまくる、
だから今回は惹かれなかったとバレているはず
「やっぱりさ」
「やっぱり?」
「ときめきってなんだろう」
「ときめきね、感覚だね」
私は胸を張って言える、直感的だと
肌で感じるから思考は動かない
「ときめきってあとで生まれることある?」
「私はほとんどない、けど」
「けど?」
「あたためなきゃ分からないこともある」
「ときめき?」
「うん、急に何かの拍子に感じることある」
「難しい、進めない僕はね」
「私はときめきを探すわ」
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