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代わりにバイトに打ち込むことにした。サークルに入るという手もあったが、お金を稼げるという実益がある点でバイトが圧勝だった。でも、入ったのはブラックバイト上等の某飲食店チェーン。
怒鳴られ、けなされ、悪口言われ。
なんだか自分って駄目なやつだったんだなぁ、と。諸経費という名目でさっぴかれた給与明細を受け取りながらぼんやりする毎月十五日。
やめたいと思うことがそもそもの間違いなのだ。それは自分の心の甘えで、楽したいという怠惰の表れだとさえ思っていた。
そうやって、ずっと我慢してきた。いや、我慢しているとも思っていなかった。
だって、自分ができないのは要領の悪い自分のせいだから、と。
知らぬ間に色んなものが積みあがっていたのかもしれない。
唐突に爆発して、自覚してしまった。
一日十時間労働したって、寂しいものは寂しい。何一つ満たされてなんかない。
時間だけ取られて、お金もたまらない。何の甲斐もなくて、擦り切れて消耗していく自分。
欲しかったのは、自分を暖かく迎えてくれる家族だった。
いつのまにこんなに遠くまで来てしまったのだろう。
私は一人ぼっち。世界中で、一人きり。
悲しいはずなのに、涙が出てこなかった。
※
最終的に、弁護士さんに相談した。
こんな大学生相手に無料で相談とか乗ってくれるんだね。おかげでバイトもやめられました。
ありがとうございました、と形ばかり頭を下げて、もう二度と来ないだろうバイト先を後にする。
最後に塩をまかれた気がするけど、気にしちゃ駄目だよね。睨まれたってどうしようもないよね。
角を曲がって、ふと立ち止まってみた。
歩道には人が、車道には車がいる。常に忙しなくどこかに急いでいて、途切れない。
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