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鏡の中に見えるのは
ピピピッピピピッ
「和桜ー!そろそろ起きないと遅刻するわよー!」
「ん……」眠たい目をこすりながら目覚まし時計を止める。「ふぁ〜……」大きなあくびをしながらリビングへ向かう。
「和桜、昨日遅くまで起きてたでしょ!早く寝なさいと何度言ったら分かるの!?」
「別に良いじゃん、ちゃんと起きられてるんだし。」
「まぁまぁ、母さん和桜はもう高校生なんだから。自分のことは自分でやれるよ。」
「お父さん!いつまでも甘やかさないで!」
また、始まってしまった……私の事で言い合いになってしまった。でも、お母さんとお父さんは決して仲が悪いわけではない。ただ、私はもう高校2年生だが、周りからよく「抜けている」などと言われるためお母さんは私の事をすごく心配している。
(もう……お母さんったら心配し過ぎよね……)
「和桜、今日午後から雨らしいから、今日は送って行ってあげるわ。」
「は〜い、ありがとう」
「結局母さんも甘いじゃないか……」
「何か言った?」
「いいえ、何も仰っていませんよ〜。それより、この味噌汁美味いな。味噌変えたのか?」
「そうなの。いつものがたまたま無くてその味噌にしたんだけど、当たりだったみたいね」
「ふふ」
こんな感じで朝から何気ない事で笑えるって良いなと思った。ふと、今朝の夢を思い出した。
「ねぇ、今朝さ……」
言いかけたとこでもう登校の時間だと気がついた。急いで支度し、鏡で髪型を確認し行こうとする。
「あ、コンパクトミラー忘れた!!」大事なものを忘れるとこだった。スマホで髪の毛を確認してもいいのだけれど、うちの学校は校内ではスマホは禁止で電源を切らなければならない。トイレに行っても女子達が溜まっていてめんどい。それに……おばあちゃんが亡くなる前に貰った大切な物だ。おばあちゃんも、自分のお母さん、つまり、私のひいおばあちゃんに貰ったらしい。私のお母さんは小さい時からショートヘアだから鏡は要らない、と言ったからおばあちゃんは私にくれたのだ。だからコンパクトミラーは私の大切な物だ。
(でも、昔ってコンパクトミラーなんかあったんだ……)
バタバタしながらも無事に学校へ着いた。
「おはよう〜和桜〜」
「おはよう〜」
友達と挨拶を交わし好きな事について語り合う。
「やっぱ、〇〇くん×〇〇くんだよな(笑)」
「それな?(笑)」
そう、私たちは腐女子だが、仲の良い子しかこうゆう話をしない。オタクは沢山いるけれど種類(?)が違う。
「和桜、生物の課題やった?」
「え……?あ……すこ〜しだけ?」
「今すぐやれよ(笑)」
「完全に忘れてた〜」
無事に課題を終えて、提出した。午前の授業はほぼ理数系だ。そして午後は、言語と、体育。眠たくても寝ないように、午前、午後と頑張った。
そして、下校時間になった。
「ばいばい〜、また明日〜」
「和桜ばいばい〜」
母に終わった事を連絡し、校門の前で待つ。今日は部活がないからいつもより早めに帰れる。
スマホをいじっていると、ポケットの中がすごく熱くなっていることに気がつく。
「あっつッ……な、何?」
恐る恐るポケットの中に手を突っ込んで何が熱くなっているのか分かった。
(か、鏡……?なんで……)
コンパクトミラーを出してみる。コンパクトミラーだから折ってある鏡の隙間からうっすら光っているのがわかる。ゆっくり開いてみると
「な、何これ!?」
鏡の中には今朝夢で出てきたあの風景が映っている。
「ゆ、夢……?」
そう思ったのも一瞬で、次の瞬間、鏡の中から眩い光が放たれた。
「ッ……!?」
私はその光に包まれ、意識を失った……
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