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ゼニニは林檎が好きである。
僕はスケッチブックに書き足した。
ゼニニは僕が作った架空のキャラクターである。鳥の頭に猫のような脚、蝉の羽を複数枚重ねたような胴体、見かけはキモかわいい。
ゼニニはガーギーと鳴く。烏と歯ぎしりを合わせたような鳴き声だ。
僕のスケッチブックはとても特殊なものでできている。普通の人にとってはただの紙なのだが、魔法使い見習いの僕が描くと描いたものが意思を持って動き出すのだ。
早速動き出した。
気持ち悪い動きだ、体全身を細かく震わせ、鈴虫のような羽音を出したあと、下手なヴァイオリンのようなガーギーという特殊な効果音で鳴き始めた。
僕は食べかけの林檎をスケッチブックに置いた。
あっという間に絵の中に吸い込まれ、ゼニニの餌食となった林檎は芯だけを残して、ペッと吐き出された。
「ゼニニ、これから二人で何をしようかな」
僕は再びスケッチブックにこう書き足した。
ゼニニは人間が嫌い、人間を丸呑みしてしまう。
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