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「どうです?翔弥さまの現状は」 その日の帰り、百瀬に呼び出された。俺は毎日記録が義務付けられている1日の成果表を手渡しながら答えた。 「国語力、暗記力はありますね。本が好きだと言ってただけのことはあります。でも、応用が弱い。あと数学が結構不安です」 「………そうですか。なんとか大学レベルまでいけそうですか?」 「まあ、まだ半年以上ありますし……翔弥さんの志望レベルなら可能性はあります」 百瀬は用紙を見ながら数回頷いている。 俺はそれを見ているとポケットに入れたスマホが鳴った。 ーー芦屋か? そう思ってスマホに触れた瞬間。 「新見先生」 「……!あ、はい?」 百瀬が俺を見ながら言った。 「今日、このあとお時間ありますでしょうか」 「え?今日?」 「はい。もし既にご予定があるなら、キャンセルして頂きますがーー」 「…………いや、なにもないが」 「それは良かった。実は先程連絡が来まして、神ノ木社長がお呼びです」 ーーマジか。 雇用契約するときに、して以来だな。 予告なく呼び出すとは、これだから金持ちは。 「わかりました。どちらに伺えば?」 「社長の自室です。……よろしいですか?」 百瀬はじっと俺を見る。俺は伸ばしかけたスマホから手を離して頷いた。 「雇用主の呼び出しなら逆らえませんね」 ***** 神ノ木進司(かみのきしんじ)。40代前半。翔弥の実の父親で、神ノ木グループの社長。数年前、翔弥の祖父から社長職を引き継いでからは実質この男がグループの権力を握っている。ーーというのが最初に俺に与えられた情報。 だが、まあ、ベッドの上ではそんな肩書き関係ない。 「ん、は………っ、」 「新見先生、……いい声で鳴きますね」 「それはどうも……、んっ、……あ、社長……」 百瀬に言われた通り、俺は帰宅せず神ノ木の部屋に行った。 神ノ木は俺を部屋に招きいれたあと、息子の話も聞かずにベッドに押し倒してきた。 おいおい、少しは翔弥に関心を持ったらどうなんだ?自分の性欲まみれな抱き方しやがって。 この男と肌を重ねるのは2回目だが、慣れすぎてて逆に笑える。 わざわざ息子の家庭教師に手なんか出さなくてもいくらでもしてくれる人間、いるだろうに。 それともそういうスリルが好きなのか?イケないことしてる、ってわかっていながら。 「社長、……あの」 「少し待って下さい。今、ゴムを」 「…………」 神ノ木がくるくるとゴムをそれに巻き付けていくのを俺はベッドに仰向けになりながら眺める。 やがてつけ終わると、俺の上に馬乗りになった。 「先生、痛くないですか?」 「……初回にあれだけ派手に抱いておいて、今さら優しいんですね」 「あぁ……契約時(あのとき)は先生が逃げ出さないようにしたくて」 そういうと、ぐぐっと圧迫されたものがゆっくり入ってくる。ーーーはぁ、デカイな。 部屋に入ったときには既に勃起していた神ノ木のそれは、芦屋との情事もあり既に入りやすくなっている俺のナカで気持ちよさそうに動いている。 「先生」 神ノ木は翔弥と似た透けるような瞳を俺に向ける。金も地位もあってルックスもいい男。 そんな男が俺のナカで欲望通りに暴れている。 「先生?」 「……んん、……っ、は、い?」 腰をつかまれ、段々激しくなる動きに意識がおかしくなりそうだ。 神ノ木は俺の頬に手を添えて、にっこりと微笑んだ。 「大丈夫ですか?俺と、こんなことしてて。恋人に怒られませんか」 「………恋、人?」 「ーー他の男の気配がします。。昨日とか、誰かとしました?」 とんとん、と自身が入った俺の下腹部に触れながら神ノ木はそんなおかしなことを言う。 「……プライベート、は……自由ですよね」 「もちろんです。ただ、これだけぐちゃぐちゃにする相手がいるとなると……契約SEXとはいえ、妬けますね」 「はっ……ご冗談を」 なんで神ノ木社長が妬く必要がある? 俺はおかしくなって笑ってしまった。 すると、まだナカにある神ノ木のそれが、ぐっと奥を突いた。 「あっ!」 「余裕ですね、契約とはいえ、今あなたを抱いてるのは俺ですよ」 「わかっ、て……ぁ、っ、あっ!」 神ノ木は急にピストンを早めてくる。俺はやらしく音が鳴る部分に意識を集中させた。 ーーウザイ。嫉妬とか支配とか、くだらない。 そんなもんどうでもいいから、もっと気持ち良くしろよ。 俺は高まってくる熱をなんとか絶頂にもっていこうと、神ノ木の背中に腕を回してしがみついた。
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