1

8/9
前へ
/24ページ
次へ
「翔弥さんの成績のことは聞かないんですか?」 終わったあと、神ノ木は百瀬を使って飲み物を持ってこさせた。 一応服を整えて普通通りにしていたが、百瀬はそんな俺をみて訝しげに首をかしげたが、神ノ木の手前、なにかを追及することはなく アイスティーとミネラルウォーターを置いて出ていった。 ミネラルウォーターを手にしながら神ノ木が笑う。 「成果表見てるからね。とりあえずテストしてみなければわからないですし」 「……まあ、ですね」 「翔弥はあまりなにかの能力に突出しているわけではないでしょう?それに加えて対人関係がアレだ。正直、会社としては期待していない」 「え?……でも、翔弥さんは跡取りですよね?いいんですか、それで」 そう言ったら、神ノ木はじっとこちらを見つめてきた。ーーしまった。踏み込みすぎた質問だった。 「いや、申し訳ありません」 「いや?そう思うのが普通です。翔弥には、会社を継がせるのは無理でも、神ノ木家の人間としてせめてちゃんと社会に出してやりたくて」 そう話す神ノ木は、父親の顔をしていた。 「……そうなんですね。……素敵です」 「なんだ、意外ですか?」 「いえ。ただ、俺との契約にSEXを入れてくるような方ですから……」 「多良川から新見先生の話を聞いて、興味が湧いて。ついでに写真も見せてもらって、俺の好みだったんです」 「………しゃちょーー」 ガタッと椅子を引いたが、遅かった。 神ノ木は口にミネラルウォーターを含んだまま、俺を抱きしめ唇を重ねてくる。 「んん………っ」 ポタポタと口から流れ出る水。神ノ木は抵抗できない俺の身体をいやらしく触りながら、舌を絡ませ離すと、ゴクリと喉をならした。 「新見先生、キスはお嫌いですか?」 「………そう言えば、免除してくれます?」 「うーん、契約書には『キスNG』とは書いてませんから……。やっぱり、恋人に申し訳ない?」 恋人…… ーー芦屋……か。 恋人、といわれ何故か芦屋の顔が浮かぶ。 もう10年もセフレを続けている俺たちだけど、最近になって芦屋が『付き合おう』と口にしだした。 ………今さら、どうやって?お互いの性癖も他の奴との情事も知ってるのに、今さらどうやって付き合うんだよ? 「………恋人はいません」 「ふうん。そういうことにしておこうか。その方が、俺も気兼ねなく先生を抱ける」 「……あ、ちょっ……社長、」 おいおい、まさか、また? 俺の腰に手を回してゆっくりとズボンのチャックを開いていく。 立ってられなくて、ガタッと椅子に座った。 「しゃ、社長!まさか、ここで?」 「舐めさせてよ、先生の。気持ちよくしてあげるから」 「………っ、でも、さっき出したから……汚い、ですよ」 「大丈夫。そそられる」 口から伸びた舌が、俺のあついところに触れる。さっき出したばっかりで多少敏感になったそこは、入り口を舐められると一気に興奮した。 「………ふ、」 「ほんとやらしいな、新見先生は。あなたと、契約してほんとうに良かった」 ーーそれは息子の家庭教師として?カウンセラーとして?それとも、好き勝手できる俺の身体のことを言っている? 口に含まれた俺自身をジュポジュポと音を立てながら、神ノ木はおいしそうにしてる。 あー、やべぇな。こんなにされたら、このあと芦屋と会っても勃たないかもしれない。 「社長、あの、俺……」 「ん?ーーしようか?2回目」 おいで、といってまたベッドに逆戻りする。 でも俺は、神ノ木の命令とその先の快楽に抵抗することはできなかった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加