*12 甘く激しい愛情表現と本当の気持ち

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*12 甘く激しい愛情表現と本当の気持ち

「もう俺は“デザート”になれないから、もうご飯作らなくていいよ」  そう、無理矢理にでも笑って告げようとしていたのに、それができなかった。  少し俯いていた顔をあげて、改めてノンちゃんの方を向いた瞬間、ノンちゃんが俺の開きかけた口に唇を重ねて舌を挿し込んできたからだ。 「ん、んぅ! っふ、んぅ!」  呼吸ごと呑み込まれたみたいにキスをされて苦しい。 息が脳みそまで巡らなくて意識がもうろうとなりかけてきた時に、ようやく俺は解放された。  乱れた呼吸のままで数センチ先のノンちゃんと見つめ合う。さっきよりも潤んで濡れた目が俺を見据えていて、心なしか、それは泣き出しそうに見えた。 「……バカだろ、お前」 「へ?」  かすれた声が、俺を笑う。夢で見たより、さっきより、うんと弱々しく。  そしてノンちゃんは俺をきつく抱きしめた。  また息が止まりそうなほど苦しくなりながら戸惑っていると、ノンちゃんが小さな声でうめくように呟く。 「――好きでもない男のために、毎日手間のかかるメシを作るわけないだろ」  うめき声の様なつぶやきは、涙の色をしているように聞こえた。  ノンちゃんが、泣いている? そう思った俺は、そっとその名を呼んでみる。  名前を呼ばれた彼は、やっぱり濡れた目をしていて、そこに俺を映し出してこう告げた。 「好きだ、サク。お前のすべてを食い尽くしたいくらいに、愛してる」  心から欲して焦がれていた言葉を耳にした瞬間、すべての感覚が甘く痺れて俺は動けなくなった。  彼の腕に抱きすくめられたまま、俺はまた唇を奪われた。舌が、深くふかく絡みついてくる。 「ん、っは……っは、あ、んぅ」 「っふ……っは」 「ノンちゃ、ん」  もう一度俺が名前を呼ぶと、彼は滴りそうなほど濡れた目で俺を見つめた。  声にできない言葉が、眼差しを介して交わされる。交わされた眼差しはふたりのあいだでひとつに溶け合う。  彼の熱と想いを感じて動けない俺を、彼はベッドのある部屋にいざなった。  いつもなら指を咥えさせてからそれで口の中をぐちゃぐちゃにしてくるのに、今日はまるで壊れ物に触れるように丁寧に全身を愛撫する。  ベッドの上に組み敷かれた俺は、覆い被さってくるノンちゃんの熱い肌と舌をまず受け止めていた。  熱く湿った舌がそっと耳元をなぞりながら濡れた痕をつけ、反対側の肌の上には指先が滑っていく。 「あ、ン……っは、んぅ!」 「声、聞かせろよ、サク。かわいい声を」 「っや、ンぅ! っあぁ!」 「そう、もっと……ほら、もっと」 「ンぅ! んっぐ、っふぅ……」  いままで言ったことないような甘い言葉を耳元で吐息交じりに囁いてくるから、さっき一度吐き出したのに俺の躰はふたたび熱を吹き返していく。  耳たぶから首筋、胸元、(へそ)、下腹部……と、舌が段々下って行き、やがて()ちあがった躰にたどりつく。  舌で指でノンちゃんは俺を快感に痺れさせて翻弄する。触れられるたびにそのすべてが電撃が走るように快感となって刻まれるからだ。  ためらいなくノンちゃんが股間に舌を這わせ始めて、俺はそれまで唇を噛んで堪えていた声を思い切りもらしてしまう。  慌ててまた唇を噛んだけれど、そこをノンちゃんが舐めてほどいてきてあっさりと声がこぼれる。 「っんぅ! あっ、あぁん! っやぁ、あ!」  舌が、俺の雄芯の輪郭をなぞってべたべた舐め尽くして、先端を咥えこみ、溢れていた先走りが一滴残らず吸い上げられる。すごく下品な音を立てて。  いつもならノンちゃんは、俺の口の中を犯すようにいじったり、せいぜい躰を扱いたりするぐらいなのに……なんで、今日は……?  丁寧で執拗とも言える愛撫が延々と続く。俺はもう快感の波に何度もさらわれて、射精寸前に何度も追いやられた。 「っや、あぁ! ノンちゃ、ンぅ! っや、だぁ! ソレ、舐めちゃ、や、あぁ!」 「すっげぇ、サクの味する……やっぱお前は最高の“デザート”だよ」 「な、ンで……こん、なッあぁ!」  好きだと言って欲しかっただけ、愛していると言って欲しかっただけ。  その言葉はついさっきやっと聞けたけれど――今、俺がされていることは、何だろうか?  いままでもそれなりに気持ちがいいエッチなことを俺とノンちゃんはしてきたと思うんだけれど、なんて言うのか、今日のは段違いなんだ。 (――もしかして、俺ら、セックスするの……?)  まだノンちゃんは指の一本も俺のナカに入れていないのに、俺はもう吐き出したくて震えている。現に先走りがあふれて止まらない。  呼吸が乱れてろくに息も吸えない俺を組み敷いたノンちゃんは、少し意地悪そうに、だけどこの上なく色っぽく、少し意地悪な感じで笑った。 「なんでもなにも、お前が好きでたまらねーからだよ、サク。俺の作るメシうまそうに食う姿とか最高に愛しい。だから……その証拠に、お前を死ぬほど気持ち良くさせてやるよ」 「っえ、へ?」 「もう我慢はしない。遠慮なくお前を愛する」  我慢しないってどういうこと……? そう、俺が問い返すより早く、ノンちゃんが再び俺の雄芯を咥えこんで激しく愛撫する。  そして同時に、ナカに指が滑り込まされてまさぐられる。二か所同時に与えられる快感に俺は声にならない悲鳴をあげた。  ナカの指は俺の弱いところを的確に探り当てて刺激し続け、咥えこんだ口中では舌が雄芯に絡みつく。  遠慮なくお前を愛する、ってノンちゃんはさっき言ったことを、快楽で翻弄されてぼんやりする頭で思い返す。そして、我慢しない、ということも。  我慢も遠慮もしない愛し方がこれだと言うなら、今までのノンちゃんは俺に何かそう言ったものを(いだ)いていたんだろうか?  俺の何が、どこが、どうして彼にそうさせてしまっていたのかが知りたかったけれど、新たな言葉を継ぐ隙も余裕も俺には与えられなかった。  射精寸前まで愛撫された雄芯をノンちゃんが再び扱きながら、今度はナカに彼の躰が挿し込まれる。  初めて感じる、熱く硬く滾ったそれに貫かれた俺が悲鳴のような嬌声をあげると、彼は愛しいものを見る目で俺を見つめて俺の腹部に触れた。 「あ、っはぁ、んぅ、あ、あぁ、っふ、うぅ」 「サクの、ここに、俺がいるの、わかるか? お前、腹減ってるだろ? たっぷり喰わせてやるからな」 「え……あ、んあぁ!」 「こんなに硬い腹筋越しでも、俺がここにあるのわかるんだな……」 「あ、っはぁう!」 「……やっぱ俺、お前のなんか食うの見るの、すげぇ好き」 「ん、ンぅ!」  ノンちゃんからの圧迫感をナカから外から感じながら貫かれているのは、脳の感覚がバグってしまう快感を引き起こす。  組み敷かれていた俺は抱え上げられ、ノンちゃんと向かい合うように抱きすくめられる。  深くさらに奥に彼を感じた俺は、のけぞりながらそれを感じていた。 「かわいいんだよ、お前……こんなごつい身体のクセに、女の子みたいに善がって、エッロい顔しやがって……すっげ―、めちゃくちゃにしたくなるくらい、好きだ」 「っは、あぁ、うぅ! あ、あぁん! ノンちゃ、んぅ! あ、あぁん!」 「サク、愛してるからな、マジで。だから、もっと俺を、感じて、くれ……!」  ノンちゃんの腕の中で何度もささやかれる言葉が、いままで感じたことがない快感を呼ぶ絶好のスパイスになって俺を痺れさせる。 「ッあぁ! んぉ、ッお、んぁ! 奥、奥に、キちゃうぅ!」 「サク……すっげぇきゅうきゅうしてる……もっと喰えよ、もっと、俺でいっぱいになれよ」  向かい合って抱き合いながら突き上げられる体位でより深く彼を感じながら、俺もいつの間にか自分から腰を押し付けていた。  ちょうどノンちゃんの顔のところに胸元が来るからか、舌先がそこを味わうように舐めてきて一層快感を呼ぶ。身体のナカも外も与えられる快感でだらしなく崩れてしまいそうだ。 「ああ、奥、出すぞ……!」 「んあぁ、っは、あぁ、あぁ――ッ!!」  身体の奥の奥に熱いものが注がれる感触がする――震えながらそれを感じていたはずなのに、俺の記憶はそこで途切れてしまった。
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