第4話(BL特有シーン・回避可)

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第4話(BL特有シーン・回避可)

 黒い瞳に情欲を湛えた京哉を前にして霧島は足を開いてやる。湯をかき分け、その足の間に位置した京哉は霧島の熱く反り返ったものを掴んで見上げた。 「くれますか、忍さん?」 「お前のものだ、好きにしていい」  嬉しげに微笑んで京哉は霧島にためらいなく口をつける。先端に舌を潜り込ませ、わざと音を立てて舐めねぶり始めた。あっという間に霧島は蜜を滲ませる。  舐め取られても次々と蜜は溢れ出た。雫になって滴るくらい蜜の伝う茎を舌で舐め上げられ、次は敏感な部分を濃厚に擦られ、霧島は呻きを押し殺す。 「うっく、あ……ふ」 「忍さんがすごく、美味しい……忍さん」  濃厚に舌を巻かれ、口を開けて咥え込まれた。舌で擦り立てられ口内全体で包み吸われて、霧島は襲い来る快感にバスタブのふちを掴んで耐える。 「こら、京哉……くっ、その舌づかいは卑怯だぞ」 「だって、本当に……んんぅ、欲しかったから」  霧島があれだけ欲しがっていたほど二人して我慢したのだ、京哉も健康な成人男性として欲しかったに決まっていた。それでも負傷した霧島に義理立てしていたのだ。気持ち良くさせたい、そして気持ち良くなりたい想いでいっぱいだった。  更に舌を巻きつけて唇で扱き始める。途端に霧島は脳髄が白熱するほどの快感に晒された。見下ろすと白くノーブルな顔立ちの京哉が赤い唇で太いものを咥えているのだ。淫らな光景までが霧島を追い詰める。とうとう堪らなくなって声を上げた。 「あっふ、いい、京哉……そこ、もっと舐めてくれ!」 「ん、ここ……ですね、っん……んんっ!」  喉元いっぱいまで咥え込まれているのが分かっているのに、腰を突き上げたくて堪らない。我慢しきれずに霧島は腰を浅く前後させ始める。合わせて京哉も扱き上げてくれた。苦しいだろうと思うも腰の動きを止められない。 「すまん、京哉、我慢して……くうっ、腰が蕩けそうだ……京哉!」 「んっ、いいから……もっと貴方を蕩かしたい……んんぅ!」 「くうっ……京哉、もういい……だめだ、離せ!」  だが京哉は許そうとしない。それでも五分ほども保たせただろうか。低く甘い声をバスルームに響かせながら霧島は京哉の口内で己を膨れ上がらせる。  咥えるのも苦しいほどの霧島をしゃぶりながら京哉が見上げると、年上の愛しい男は濡れた髪を乱し喉を仰け反らせていて堪らなく色っぽかった。  そんな男は口内でもっと張り詰めさせて、本当に口を開けているだけで精一杯である。 「もう、いく……出すぞ、京哉!」 「んっ、僕の、口を汚して……全部、頂戴――」 「あっく、あっ……くうっ!」  幾度も身を震わせて霧島は京哉の喉に叩きつけるかの如く放つ。止めようもなく大弾けさせた熱く濃いものを京哉はそのまま呑み込んだ。  口を離して扱き、滲んだものもピンクの舌で舐め取る。肩で息をする霧島は達したばかりなのに、そんな京哉に妖しいまでの色気を感じた。 「そんなものは吐き出していいと、いつも言っているだろう」 「いいんです、僕が欲しかっただけですから」 「そうか。では、ふやけてしまう前に上がろう」  頷いた京哉は霧島を軽く指先で弾く。霧島はなお勃ち上がらせたままだった。放ってなお先端を腹にくっつくほど反り返らせた霧島は当然とばかりに告げる。 「分かっているだろうが、ここからだからな」 「でも本当に無理はだめですからね。しすぎで再入院なんて恥ずかし過ぎますから」 「だが何日我慢したと思っている? ほら、風邪を引く前にベッドに移動だ」  バスルームから出ると二人してバスタオルで躰を拭い合い、何もまとわず寝室のベッドに向かった。ベッドに上がった京哉は積極的で自らシーツの上で躰を開く。 「きて……忍さん。ってゆうか、忍さんってすごいかも」 「ああ、禁欲生活が効いているからな」  揺れもしないほど張り詰めた霧島が危ういほどの存在感で、本当に自分に入るのか不安になった京哉は思わず息を呑んだ。そんな京哉の前で霧島はベッドボードの棚からガラス瓶を取り出す。愛用のトワレはペンハリガンのブレナムブーケだ。  京哉も大好きな香りだが、普段は現場に匂いを残せないと言ってつけてくれない。  だが行為の時だけはこうして香らせてくれるのだ。  胸に一吹きすると上質な柑橘系の清潔感ある匂いが広がる。 「ん、いい香り。忍さん、お願いです。埋めて、本当の僕を掘り起こして」 「そこまで煽って……知らんぞ、どうなっても」  白く華奢な躰が悶えて誘い、霧島は堪らない想いでのしかかって組み敷いた。上半身を擦り合わせ、掌でくまなく白いきめ細かな肌を撫で上げる。  愛撫というには荒々しい求め方に京哉が身を反らせた。  仰け反った喉が咬みつきたいほど白い。滑らかな象牙色の肌を擦りつけながら、霧島は自分の右手指を口に含み、たっぷりの唾液で濡らす。濡れた指で難なく京哉の敏感な処を捉え、一本目の指を狭い蕾に挿入した。 「あっ、ああん……忍さん、そこ、はぁん」 「分かったから暴れるな、傷つけたくない……一本目でこれか、きついな」 「やだ、止めないで! もっと擦って! 引き裂いてもいいから!」  本気で言っているのが分かるだけに、霧島は慎重に指先で粘膜を撫でる。自分がここで理性をとばしてしまったら華奢な京哉の躰はただでは済まない。    だが細い腰を悶えさせる京哉は淫らすぎ、今すぐにでも突き立て征服してしまいたい思いを抑えつけるのに苦労した。そうして確実に長い指を増やし狭いそこを馴らしてゆく。 「忍さん、もういいですから、はぅん……入れて。お願いです」 「あと少しだけ待て」 「嫌だ、待てない……忍さんが欲しい! ひとつになりたい!」  自ら京哉は腰を浮かせて霧島の数指を抜いた。もう霧島も限界だった。京哉の脚の間に入り、蜜を垂らして欲しがる己を京哉にあてがう。  しかし本当に禁欲生活が効いているらしく自分でもどうかと思うほど滾らせていて、京哉にこれを受け入れさせるのは可哀相だった。それでも既に互いに退けない。 「くっ、我慢してくれ、京哉、きついな……すまん!」 「いい、から……はあっ、もっと奥に……いい、壊しても」  白く細い躰に己が咥え込まれてゆくのを堪能したのは最初だけ、霧島は走る痛みに冷や汗を滲ませる。馴らしたのが嘘のように京哉は狭かった。  まるでまっさらな躰をこじ開けているようである。自分がこれだけ痛くては京哉はもっと痛いに違いなく、だが止めようもなく腰を進めて己を収めさせる。  京哉を窺うと瞑った目尻から涙を流していた。相当痛むのかと心配になる。 「すまん、京哉。無理なら抜くぞ」 「やだ、抜かないで……僕の中にいて」  涙まで流していながら京哉は淫らな悪戯を仕掛け始める。血が止まるかと思うほど締めつけられて、霧島は身動きも取れなくなっていた。  しかし温かな内襞に絡みつかれ、悪戯への反撃で半ば強引に太すぎるものを根元近くまで京哉に捩じ込む。僅かな隙間も作りたくない想いだが、これも危ない行為だった。 「少し、力を抜け、京哉」 「だめ……躰が勝手に……いいから動いて、突いて」  京哉は京哉で我慢してきた分、霧島を離したくない想いからコントロールが効かなくなっていた。そんな京哉の状態を読み取って霧島は愛しくて堪らない年下の恋人をまさに引き裂くように貫き突き上げた。 「くっ、あ……京哉、いい、堪らない!」 「僕も、すごい、忍さん……もっと突いて!」  脳髄が白熱するような快感を得て二人は上下から躰をぶつけ合った。もう京哉の体内が馴染み絡んで傷つける心配もない。  霧島は叩きつける勢いで熱い楔を京哉に打ち込み続ける。幾らもせずにまだ一度も達していない京哉が身を反らし限界を訴えた。 「もう、だめ……忍さん、いかせて――」 「いくなら、私も、一緒だ!」  頑丈なダブルベッドが軋む勢いで霧島は京哉を攻め立てる。京哉はもう揺らされるに任せるしかない。体内で霧島が更に太くなった。  そんな苦しさや痛みも霧島のくれる快感の前ではどうでも良くなる。更に激しく擦過され快感が二人に襲い掛かる。 「ああんっ……いく、いっちゃう……ああっ!」 「うっく、京哉……くうっ!」  二人は同時に達した。京哉は自分の胸にまで熱を飛び散らせ、霧島は二度目とは思えないほど京哉の奥をずぶ濡れにしている。    だが霧島は抜かないまま、再び京哉を攻め始めた。のしかかるように攻め続ける大柄な男は、小柄な京哉をまさに蹂躙している。蹂躙される京哉の反応は何処までも甘い。 「まだ、狭い、京哉……愛している!」 「僕も忍さんを愛して……はぁんっ、すごい、いい!」  きつい粘膜の感触は霧島の理性を侵食するに充分だ。久しぶりの行為なのもあり、もはや白い躰に溺れてしまっていた。それでも天性のテクニックで攻め立て、京哉を甘く高く鳴かせながら二人分の快感を抉り出してゆく。  霧島は華奢な身を掻き抱いて攻め、更に夢中でその細い腰を抱いた。まだきつく締めつけ絡みついてくるのを押し分け引き裂くように侵入し割り込んで擦り上げる。    室温さえも上がったかと思われる中に淫らな音が響いて堪らなく煽られた。 「京哉、京哉……すまん、良すぎて止められない!」 「いいから、貴方が好きなだけ……忍さん、ああんっ!」  再び白い躰を返して愛しい顔を見ながら蕩けた場所を掻き回した。もう京哉が予兆もなく薄く少量の雫を腹に零す。霧島も京哉の中に注ぎ込んだ。  京哉が閉じ込めきれなかった霧島の欲望がシーツを濡らしてゆく。  それでも霧島は京哉から去ることなど考えられず、腰を律動させながら華奢な鎖骨から首筋にまでキスを落とした。  白い肌を思う存分吸い上げ、赤く濃く己の証しを刻み込んだ。京哉自身は恥ずかしがるが霧島は誰にキスマークを見られようが構わないタイプのある意味、奇人・変人の類であるため、自分のものという証しであり、虫よけにも丁度いい、くらいにしか思わない。  そんな年上の愛し人を相手に難儀するのは京哉なのだが、行為の最中にそれを止めさせるのも無理な話だろう。お蔭で京哉の鎖骨周辺は皮膚疾患の如く点々と真っ赤に染まった。京哉も霧島にし返したが肩口にひとつ付けたのがやっとである。  次には唇も貪られた。キスをして舌を絡めた霧島は息が上がるほど求める。 「んんぅ……んっ、ん……はあっ! また、いきそう――」 「私も、もっと、お前の中を濡らすぞ!」  思い切り激しく京哉の中を掻き回し先端で抉る。二人の体温で柑橘系のトワレが濃く匂った。京哉が両腕を伸ばして霧島にしがみつく。背に爪を立てられて痛みを甘いものに感じた。京哉の声が嗄れかけている。 「はぁん……忍さん、もう、あぅんっ!」 「――京哉……くっ!」  霧島は京哉の中に熱く迸らせた。だが京哉は殆ど何も零せないまま澄んだ黒い瞳で霧島を見返す。妙に冷静な目に霧島は余計に煽られてしまい、京哉の何もかもを己で埋め尽くさずにはいられなくなった。抱き締めた京哉の方を引き寄せる。 「あ、あ、あああっ……いや、あうっ!」 「本当に嫌なら抜いてやるが、嫌か?」 「んあっ! つうっ、あっあっ……きつ、はあんっ!」  まともな返事もできないのを見越して攻め立てた。激烈な攻めは霧島に慣れている京哉だからこそ耐えているのだが、それでも言葉にならない悲鳴で京哉は叫ぶ。 「あっ、ああっ! それ、は……忍さん、それは、はっ、あっ!」 「これも私だ、覚えておけ」  同時に前も攻められて京哉の快感は閾値を超え思考が白く飛んだ。  霧島がこの自分に対してする行為の何もかもを、強烈な快感と征服される心地良さに変換していた。途切れない甘く高い声で喘ぎ続け、注ぎ込まれ続ける快感を貪り続けておかしくなりそうだった。そんな時間がどれだけ続いたのか。 「あっあ、いく、いくぞ……だめだ、京哉、それは……っく!」  温かい霧島の欲望を一滴残らず己のものにした京哉は、霧島が納得するまで攻めさせ何もかもを受け入れるつもりでいたが、ふと目を瞑った途端に視界が暗転した。
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