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「さようなら、我が生家」
長年過ごしたこの屋敷。
これで離れると思うと、やっぱり寂しいものがありま……。
やっぱやめよう、この口調向いてないわ。
せっかく家を出たんだからもう、お嬢様らしい喋り方とかやってらんないわ。
ああ、凝った凝った肩が凝った。
心なしか腰も痛い気がする。
やっぱり心の不調は体に出るもんなんだなあ。
さあて、どこさ行きますかねえ?
「ちょっとお待ちなさい」
「ん?」
屋敷に背を向けて、さあ旅立ちとなったところで。まさかの全くかけられた。
一体誰なんだと思ったけれども、この声の主は
振り返りざまやはりと思った
「お母様。……あっ」
「お母様ですって?」
この屋敷の当主の夫人である、ベレテレスティ・ランブレッタ様。
詰まるところ私の義母。いや、元義母である。
齢四十を超えているにも拘らず、その若さにイマイチ衰えが見えない。
どんな健康法を行なっているのだろうか? ふと思った。
それはさておき、つい癖でまたお母様と読んでしまった。
元義母が、額にしわを寄せながら私に距離を詰めてくる。
そうして飛び出してくるのはきっといつものセリフだろう。
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