第3話

2/4
前へ
/35ページ
次へ
「さようなら、我が生家」  長年過ごしたこの屋敷。  これで離れると思うと、やっぱり寂しいものがありま……。  やっぱやめよう、この口調向いてないわ。  せっかく家を出たんだからもう、お嬢様らしい喋り方とかやってらんないわ。  ああ、凝った凝った肩が凝った。  心なしか腰も痛い気がする。  やっぱり心の不調は体に出るもんなんだなあ。  さあて、どこさ行きますかねえ? 「ちょっとお待ちなさい」 「ん?」  屋敷に背を向けて、さあ旅立ちとなったところで。まさかの全くかけられた。  一体誰なんだと思ったけれども、この声の主は  振り返りざまやはりと思った 「お母様。……あっ」 「お母様ですって?」  この屋敷の当主の夫人である、ベレテレスティ・ランブレッタ様。  詰まるところ私の義母。いや、元義母である。  齢四十を超えているにも拘らず、その若さにイマイチ衰えが見えない。  どんな健康法を行なっているのだろうか? ふと思った。  それはさておき、つい癖でまたお母様と読んでしまった。  元義母が、額にしわを寄せながら私に距離を詰めてくる。  そうして飛び出してくるのはきっといつものセリフだろう。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加