第3話

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「貴女にお母様などと呼ばれる筋合いはありません。――私のことはママと呼びなさいといつも言っているでしょう!」 「ご、ごめんなさいママ上様」  お母様。  その呼び名は私の実の母のみを指すものだから、自分のことはママと呼べと常日頃からおっしゃる。  私としては、そこにこだわりなんてあまりないんだけどね。  だいたい、ボルディにはお母様と呼ばれてるんだからいいじゃないのさ。ダメ? ダメか。 「それで、ママ上様は一体何をしにここへ? 御付きもつけずに、外へ出るなんて珍しい」 「貴女、それは本気でおっしゃっているのですか? まあよいでしょう。折角ですので、元娘に対してせめてもの、せめてものッ! お見送りでもして差し上げようかと、そう思った次第です」 「は、はあ……」  何故だろう、いつも以上に当たりが強いようなそんな気がしてくる。  ふとそんなことが疑問に思ったが、気が付くと私は手を強く握りしめられていた。 「あ、あの……」 「当主様のお決めになられた事故(ことゆえ)、こちらも口出すつもりはございませんが。これが母としての最期の語らいにもなりましょう。しかし私は多くは語りません、風邪などひかぬよう健康には気を使いなさい。それだけです」 「はあ……」  いや、それだけって言うけれどもね。
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