第3話

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「あの、ママ上様? でしたらそろそろ手を離して頂きたいのですが?」 「何をおっしゃるのです? この私の細腕など、すぐに振り払えるでしょう?それが出来ないということは貴女にまだ未練があるということです」 「え、普通に手が痛いんですが? ちょ、ちょっとそんなに握りしめられても……。強い、強いかなって。そろそろやめてほしいかなって」 「言い訳ですか? しかしそれでも手に痛みを感じると言い張るのであれば、それは母の痛……、いえ、もう母娘ではありませんね。では、あれです、やはり物理的な握力です」 「本当にそう言い切っていいんですね!? もうむちゃくちゃですよ!」  そんなやり取りもあったが、なんやかんやで私はやはり家を出ることになった。  そうこれは新しい門出、新しい私のスタートであるのだ。  見よ! この軽やかな足取りを!  ……勢いで街へと飛び出したはいいものの、  やっぱり勢いで行動するもんじゃないなぁ。  とりあえずお小遣いはあるし、安宿を拠点にして住み込みのバイトでも探すか。
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