第1話

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「君との関係も今日限りで終わりにさせてもらう、婚約は破棄だ。理由はもちろんわかっているね?」  わざわざ屋敷にまでやってきて婚約者であるブムゥ様が、唐突に来られてそんなことを言い放ちました。  唐突でおもわず身が固まる。あまりに不躾じゃない?  ただ、どこかで納得がいかないでもなかったのです。   「理由はなんでしょうか?」 「聞きたいかい? そうかそうか聞きたいか。では聞かせてあげよう」  非常に偉そうにむかつく態度を取るも、これが最後と自分に言い聞かせて言葉を待ちました。  その大層なお偉い口から今か今かと飛び出したその言葉。 「ぼくはね。君の事を愛してはいたんだよ? それは本当だ。ただね、はっきり言ってマンネリ化してしまった感が否めないんだよね。ぼくもさ、将来を有望しされた公爵家の跡取りなんだ、女性ひとりで満足していい器じゃない。分かる? 英雄色を好むって言うしね、最初はピープルの妾の仔なんて物珍しさがあってよかったんだどね」  は? 長々となんてつまんない説明をするのか、自分に酔った様が苛立たせる。
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