第1話

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 私も、好きであなたと婚約した訳ではありません。亡き母の為、父の為、本妻の為に心を砕いたわけで。  それでも、最初から嫌いだったわけじゃない、それが物珍しさからだったとしてもピープルの血を引いた私と婚約してくれたのだから、思う所はあったんです。  好き放題言った彼の顔はそれはもうスッキリとしていてさらにむかついてしまう。 「ピープルの娘に同情できる優しい男性だという評判を手に入れたのは良かった、おかげでいろんな女の子を知る事ができたからね。やっぱりマンネリはいけないよ。でも、君には他の女性を追いかけさせてくれる度量はないし。あ、でも浮気はぼくだめなタイプだからさ。だって、男と女じゃ浮気の重みがどうしても違う。男の浮気は甲斐性で歓迎ものだけど。ぼく、女性に裏切られるは許せないんだなぁ」  スッキリした顔してるくせに、さらに無茶苦茶に論じてくる。 「ま、君もさ。これから周りの目が気になるようになるだろう。評判の貴族に袖にされた哀れなピープルの仔なんだから。あ、そうそう」 「まだ何か?」 「その口の聞き方も今は流して上げるさ。なんせ今は充実している。入っておいで」 「?」  にやにやといやらしい笑いを浮かべる彼は誰かを呼びつけました。  ここうちの屋敷なんだけど、なんで勝手に人を呼ぶのよ。
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